さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

歌稿(五十音順)
索引語一覧

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

(*) 関連一致あり


アーチェリーと 今は呼ぶなり(*)
歌稿
洋弓(アーチェリー)の 色あざやかな(*)
歌稿
アイスノンを 使ひて夜々に(*)
歌稿
会ひたくは なきかと問はれ(*)
歌稿
相共に よはひかさねし(*)
歌稿
相似たる 兄と妹(*)
歌稿
曖昧な 生き方ならむ(*)
歌稿
あいまいな 電話のありて(*)
歌稿
喘ぐ呼吸の まにまに街を(*)
歌稿
あをあをと 芦はそよぎて(*)
歌稿
青々と たわむゆくての(*)
歌稿
蒼黒き 闇の匂ひに(*)
歌稿
青竹を 踏むことさへも(*)
歌稿
青竹の 色新しき(*)
歌稿
「青の時代と」 いふがピカソに(*)
歌稿
青麦の 丘のなだりに(*)
歌稿
青麦の 畑に花を(*)
歌稿
青森の 林檎一顆(*)
歌稿
煽られて 飛び立ちし草の(*)
歌稿
赤々と 房なすなかに(*)
歌稿
赤き火の 混るは悪しと(*)
歌稿
赤く熟れし トマトを支へ(*)
歌稿
あかつきの 夢に白々と(*)
歌稿
商ひの 終はらむとして(*)
歌稿
空き箱を こはして平らに(*)
歌稿
秋深く 臥しゐて聞けば(*)
歌稿
あきらむる 日といきりたつ(*)
歌稿
諦めて なるべきものか(*)
歌稿
悪意とも 思へざりしが(*)
歌稿
悪意まで ゆかざる恣意を(*)
歌稿
あくがれて かけしことなき(*)
歌稿
あけぐれに 咲くといふ蓮(ハチス)(*)
歌稿
明障子 張り替へて年を(*)
歌稿
憧れし のみに帰らむ(*)
歌稿
あこがれに 似たる思ひに(*)
歌稿
朝明けに 送り出す人の(*)
歌稿
朝明けに 帰り来む人の(*)
歌稿
あさがほの 蔓はのぞかれ(*)
歌稿
朝顔は 咲く用意して(*)
歌稿
浅からぬ 罪と思ふに(*)
歌稿
朝の来ぬ 夜はあらじと(*)
歌稿
朝夕に 人の仰ぎて(*)
歌稿
紫陽花の 夕べのいろを(*)
歌稿
朝(あした)より 風のさわだつ(*)
歌稿
足の先 ふたたび冷えて(*)
歌稿
芦の葉に 切りにし細き(*)
歌稿
足早の 人なりしかな(*)
歌稿
足もとに 目をおとすとき(*)
歌稿
足もとの 明るいうちに(*)
歌稿
足弱を 隠さむとにも(*)
歌稿
預かれる 楽譜返さば(*)
歌稿
明日の無き われかも知れず(*)
歌稿
明日の日も 思ひ見難く(*)
歌稿
校倉を めぐれる雨も(*)
歌稿
校倉の 高床の下に(*)
歌稿
汗知らずと 言ひて買へども(*)
歌稿
新しき 遊び覚えて(*)
歌稿
新しき 獲物を求めて(*)
歌稿
新しき 垣のほとりの(*)
歌稿
新しき 米を賜ひぬ(*)
歌稿
新しき 昆虫図鑑の(*)
歌稿
新しき 数珠のありかの(*)
歌稿
新しき パンの店ありて(*)
歌稿
新しく 切り拓きたる(*)
歌稿
新しく 何かを始むる(*)
歌稿
当たらぬも 当たるもよしと(*)
歌稿
熱き湯の 出でてくるまでの(*)
歌稿
あっといふ 間の鉄橋なれば(*)
歌稿
あてがひし てのひらにふるる(*)
歌稿
あなうらを ひたと地上に(*)
歌稿
アフガンと いふ洋犬は(*)
歌稿
「アプト式 鉄道」と出づ(*)
歌稿
雨脚の やや細りたり(*)
歌稿
雨ざらしと いふ言の葉を(*)
歌稿
余すなく 積みたる藁に(*)
歌稿
あまたなる 声よりわれを(*)
歌稿
あまたなる 少女小説(*)
歌稿
雨粒を 光らせてゐしが(*)
歌稿
雨多き ころはことさら(*)
歌稿
雨に来て 今日のわれには(*)
歌稿
雨のあとに 置き去られしかの(*)
歌稿
雨のあと 油紋ひろがる(*)
歌稿
雨の音 いたくつめたく(*)
歌稿
雨のなか 何言ひたくて(*)
歌稿
雨の日に 見し石舞台(*)
歌稿
雨の日の 朝の鏡に(*)
歌稿
雨の日は シートの中に(*)
歌稿
雨のまま 明けむとしつつ(*)
歌稿
雨の夜は 雨の音のみ(*)
歌稿
雨の夜は すさまじなどと(*)
歌稿
雨降れば 忽ち雨に(*)
歌稿
雨やみて また風となる(*)
歌稿
アメリカと 日本の女子バレー(*)
歌稿
鮎たちに 尽くす齢の(*)
歌稿
洗ひたる ブロッコリーに(*)
歌稿
あらかじめ 決めゐし如く(*)
歌稿
あらくれの 犬に戻りて(*)
歌稿
争はぬ 人もあらねば(*)
歌稿
荒立ちて 岩間くぐりし(*)
歌稿
あら、といふ 声に右手を(*)
歌稿
荒縄を 飛ばしつつ(*)
歌稿
あらはして しまへばもろし(*)
歌稿
あらはなる 蕋よりもなほ(*)
歌稿
アラン・ドロン さながらの選手(*)
歌稿
アリアドネの 糸を渡さん(*)
歌稿
ありあはせの 昼餉といへど(*)
歌稿
ありがとうと せめて一言(*)
歌稿
蟻地獄に 過ぎゆく時間(*)
歌稿
蟻地獄は 何事もなく(*)
歌稿
ありのまゝを 描くを好まぬ(*)
歌稿
アルカリを 含めば青き(*)
歌稿
ある地点 まで来て不意に(*)
歌稿
あるとなき 風の速度に(*)
歌稿
ある筈の 菱の実は何に(*)
歌稿
アルバムに 燐寸のペーパー(*)
歌稿
荒れ狂ふ 夜の無き如く(*)
歌稿
荒れ著き ひと日となりしか(*)
歌稿
荒れて 濁りてゐし水の(*)
歌稿
あはあはと 紫陽花咲けり(*)
歌稿
あはあはと けばだつ糸を(*)
歌稿
あはあはと 拡げて霞草を(*)
歌稿
あは雪の 溶けむとしつつ(*)
歌稿
暗号は 解き得ぬままに(*)
歌稿
暗黒の 傾斜果てなく(*)
歌稿
安全圏は この家のなか(*)
歌稿
あんパンを 人数分持ちて(*)
歌稿

言ひかはす 言葉は凍てて 電光の(*)
歌稿
言ひがたき 何かを抑へ(*)
歌稿
言ひつのる 側(がは)の勝つとも(*)
歌稿
言ふほどの ことにあらねど(*)
歌稿
癒えがたき 病告げ来し(*)
歌稿
癒えぬまま 又夏は耒て(*)
歌稿
いかならむ 立願をして(*)
歌稿
いかにして 避けて通らむ(*)
歌稿
生き生きと わがあるものか(*)
歌稿
生きゐても ゐなくても何が(*)
歌稿
息かけて 眼鏡を拭きて(*)
歌稿
息詰めて 待つ時間あり(*)
歌稿
生きてゐる 紅薔薇なれば(*)
歌稿
生きて甲斐 あるいのちならねど(*)
歌稿
生きてゆく いつにかはらぬ(*)
歌稿
息とめて ゐる数分に(*)
歌稿
生きのびて 争ふことも(*)
歌稿
生きゆくに 必死の日あり(*)
歌稿
幾重にも 稲架(はさ)をめぐらせ(*)
歌稿
幾十年 以前のことか(*)
歌稿
幾たびか 上空をゆく(*)
歌稿
幾たびも 書きては消して(*)
歌稿
幾たびも 画面をはづれ(*)
歌稿
幾たびも 聞きて忘るる(*)
歌稿
いくたびも コピイの残の(*)
歌稿
いくたびも 倒るるものを(*)
歌稿
いくたびも 問ひ直されて(*)
歌稿
いくたびも 飛行きがゆき(*)
歌稿
いくたびも 見失ひつつ(*)
歌稿
いくたびも わが手をのがれ(*)
歌稿
幾つもの 鳥のむくろを(*)
歌稿
幾つもの 目がわが顔に(*)
歌稿
幾日を こころ騒がせ(*)
歌稿
いくばくか かかはりあるや(*)
歌稿
幾本も ゼムクリップの(*)
歌稿
幾万の ボートピープル(*)
歌稿
生くるとは 戦ひなりや(*)
歌稿
生ける限り かくは苦しみ(*)
歌稿
磯魚(いさな)とる 伏屋まばらに(*)
歌稿
いざよひの 空を見をれば(*)
歌稿
石垣の 銃眼も今は(*)
歌稿
意識して 離しし距離に(*)
歌稿
遺子たちの 走り回るを(*)
歌稿
石段の 一段一段(*)
歌稿
石になど なりてはならず(*)
歌稿
医師の側より 歌はれをれば(*)
歌稿
石舞台の そばだつ野辺も(*)
歌稿
石よりも鳥よりも小さく(*)
歌稿
椅子の背に 何かかけおく(*)
歌稿
いづこへか のきしごとくに(*)
歌稿
いづこかで 必ず辻褄を(*)
歌稿
いづこかの 火山の煙の(*)
歌稿
いづこなる 沼とも知れず(*)
歌稿
いづこにか 大き力を(*)
歌稿
いづこにか 水の音して(*)
歌稿
いづこにか 見ていまさむと(*)
歌稿
いづこにて 貰ひし風邪か(*)
歌稿
いづこに ひそみてゐたる(*)
歌稿
いづこにも あるにあらずや(*)
歌稿
いづこより 採光されて(*)
歌稿
いづこより さす月かげに(*)
歌稿
いづこより 迫りて大き(*)
歌稿
いづこより 匂ひてくるや(*)
歌稿
いづこより 見たるセダンか(*)
歌稿
いづこより 見てゐにけむと(*)
歌稿
いづこより 見にし景色か(*)
歌稿
イスラムの 世界は思ひ(*)
歌稿
急がるる 工事にあらむ(*)
歌稿
いたいたしく いらだちたまふ(*)
歌稿
いただきし おみくじは吉か(*)
歌稿
痛手持つ 心にしみて(*)
歌稿
板の間と いふ広き域を(*)
歌稿
いたぶらるるを 覚悟してゐしに(*)
歌稿
痛みより 解かれしや否や(*)
歌稿
イタリアの 春はいかにか(*)
歌稿
射たれたる 乗り手のそばに(*)
歌稿
一陣の 風にも消えむ(*)
歌稿
一の女 三の女の(*)
歌稿
いち早く 白の靴はく(*)
歌稿
いちはやく 着きしつばくろ(*)
歌稿
いち早く 花大根の(*)
歌稿
一番下に なりゐし柚子の(*)
歌稿
一秒が 大きく動く(*)
歌稿
一望に 芦は茂れど(*)
歌稿
市女笠、侍女を従へ(*)
歌稿
市女笠の 形に雪を(*)
歌稿
一面に 頭上を覆ふ(*)
歌稿
一里塚の 榎のほとり(*)
歌稿
一列に 並びて生くる(*)
歌稿
一列に 灯をちりばめて(*)
歌稿
一羽一羽の 重さは測らるる(*)
歌稿
いつかまた ファーのコートと(*)
歌稿
一句一句 皆辞世ぞと(*)
歌稿
一軒家と 昔は呼ばれし(*)
歌稿
いつしかに 桜は過ぎて(*)
歌稿
一瞬の 間(かん)にのがれて(*)
歌稿
いつ知れず 百合の花粉の(*)
歌稿
一心に 滝に打たるる(*)
歌稿
いつとなく 体ちぢまり(*)
歌稿
いつになく 雀あつまり(*)
歌稿
いつの日か ちりちり松葉(*)
歌稿
いつの日に 見しや蓮田の(*)
歌稿
いつの日の 記憶と知れぬ(*)
歌稿
いつの間に ガラス割れ棧の(*)
歌稿
いつのまに 消えてしまへる(*)
歌稿
いつのまに 薬効きゐて 裁ちしまゝ(*)
歌稿
いつのまに 石榴は実り(*)
歌稿
いつのまに 車体の色を(*)
歌稿
いつのまに 波ををさめて(*)
歌稿
いつのまに バスのボデイの(*)
歌稿
いつのまに 春もたけゐて(*)
歌稿
いつの世の 傷とも知れず(*)
歌稿
いつの世の こととも知れず(*)
歌稿
いつの夜の 雪と知らねど(*)
歌稿
いつの世の われなりにしや(*)
歌稿
いつの夜も 髪を乱せる(*)
歌稿
一方の ピンチが敵方の(*)
歌稿
いつまでも 帰りたくなき(*)
歌稿
いつまでも 来ぬバス待ちて(*)
歌稿
いつまでも 残のまゝある(*)
歌稿
いつ見ても 人影あらず(*)
歌稿
いつ見にし 記憶ともなく(*)
歌稿
いつも風の やうにありたき(*)
歌稿
いつよりか 体の中の(*)
歌稿
いつよりか 黒の羊の(*)
歌稿
いつよりか 人の心に(*)
歌稿
偽りを 言はずにすめば(*)
歌稿
出でて来し 匂ひ袋は(*)
歌稿
糸切り歯の 機能のかそか(*)
歌稿
糸くづの ごとくこぼれつ(*)
歌稿
いとせめて 酔ひて哭かなむ その果てに(*)
歌稿
糸の目の 粗く浮きゐる(*)
歌稿
稲妻の ごとく光りて(*)
歌稿
いなびかり 沖へ走りて(*)
歌稿
いにしへの くらがりのなか(*)
歌稿
いにしへの 武将の隠し(*)
歌稿
いにしへも 同じ形に(*)
歌稿
犬小屋の まはりも掃き(*)
歌稿
犬の子は 白き和毛(にこげ)に(*)
歌稿
犬も猫も 老いては耳の(*)
歌稿
犬鷲は 畦の赤児の(*)
歌稿
命かけて 吸ふ煙草かと(*)
歌稿
井の水は やはらかしとぞ(*)
歌稿
いぶかしき ことのふえゆく(*)
歌稿
いま一度 降る春の雪(*)
歌稿
今更に 何迷ふやと(*)
歌稿
今しがた 建築現場を(*)
歌稿
今少し 今少しとぞ(*)
歌稿
今のわれは 迷ひの器(*)
歌稿
妹を 仏と思ふ(*)
歌稿
妹が ゐて母がゐて(*)
歌稿
妹の 在りしころより 缶切りも(*)
歌稿
妹の 戒名の美しき(*)
歌稿
妹の 手は小さくて(*)
歌稿
妹の 名に呼ぶ鳥を(*)
歌稿
妹の みまかりしあとは(*)
歌稿
妹の 命日なれば(*)
歌稿
妹も 姉も世に亡く(*)
歌稿
妹も 妹の友も(*)
歌稿
妹も 母も世に亡く(*)
歌稿
妹も 父母も見ず(*)
歌稿
いらいらと 煙草喫ひ又(*)
歌稿
いらだちて 罵る朝も(*)
歌稿
入り海は 曇りに凪ぎて(*)
歌稿
入り海は 水母の多き(*)
歌稿
いろいろの 女の傘を(*)
歌稿
岩を裂く 小さき滝の(*)
歌稿
言はざりし ことをよみせむ(*)
歌稿
言はるるままに 言はれ置かむと(*)
歌稿
インテリには 珍しく冷たからず(*)
歌稿
飲料水の 心配などせずに(*)
歌稿

魚編を 引かむに重き(*)
歌稿
迂回して 橋を渡りて(*)
歌稿
家族(うから)らは みな道連れに(*)
歌稿
浮き出でて 日の差す鞠の(*)
歌稿
浮世絵の なかに降る雨(*)
歌稿
動きたき なべてが動ける(*)
歌稿
動くことを やめし起重機(*)
歌稿
動くとも あらざりし陽の(*)
歌稿
失はれたる もののありき(*)
歌稿
うしろから 来る人の会話(*)
歌稿
うす色の スカーフひるがえす(*)
歌稿
うすものを 仕舞はむとして(*)
歌稿
失せものに 気をつけろといふ(*)
歌稿
うたといふ 細道を通る(*)
歌稿
歌詠みの 撮り耒し小さき(*)
歌稿
うちつけに 花びらを水に(*)
歌稿
うちとけぬ 日々にも慣れて(*)
歌稿
美しき 少女に清水(*)
歌稿
鬱陶しき 存在となりて(*)
歌稿
うつりあふ 家具も明るく(*)
歌稿
映りゐし 石ころの如き(*)
歌稿
移りゆきし 向ひの家の(*)
歌稿
遷りゆく 思ひとめどなく(*)
歌稿
乳母車の みどりごも花を(*)
歌稿
奪はれし 自由の一つ(*)
歌稿
うぶすなの かの灯籠の(*)
歌稿
馬の匂ひ 嗅ぎたる如し(*)
歌稿
生れ変る とも又女に(*)
歌稿
海こえて み仏の流れ(*)
歌稿
海に遠き 町にのみ住みて(*)
歌稿
海の彼方 動乱ありと(*)
歌稿
海の話 山の話も(*)
歌稿
海見ゆる 窓をなぞへに(*)
歌稿
埋め立てて 遠くなりたる(*)
歌稿
裏の裏まで 見なくてすみて(*)
歌稿
裏のまだ つかぬオーバー(*)
歌稿
売られたる 牛らは何を(*)
歌稿
うら若き 母持てる子と(*)
歌稿
うら若き 保母に抱かれし(*)
歌稿 
うろ覚えの 足取りを追ひて(*)
歌稿
うろ覚えの ことはあくまで(*)
歌稿
運命と いふを思はす(*)
歌稿

エアコンを 切り替へて不意に(*)
歌稿
エアコンの 風に炎の(*)
歌稿
鋭角に そばだつ谷の(*)
歌稿
ABC 順なりにしが(*)
歌稿
英文科に ありし妹の(*)
歌稿
描かれし 風景の上を(*)
歌稿
ゑがきたき ものみな失せて(*)
歌稿
駅前の 広場を抜けて(*)
歌稿
ゑぐられし 眼球二つ(*)
歌稿
蝦夷梅雨と 呼ばれて降ると(*)
歌稿
蝦夷の名と 今も忘れず(*)
歌稿
エラー見て 大観衆は(*)
歌稿
鰓呼吸 より解かるると(*)
歌稿
選びたる 道を来りて(*)
歌稿
襟元に 寒しエアコンの(*)
歌稿
エレベーターに 降り来む人を(*)
歌稿
絵蝋燭が 三本並ぶ(*)
歌稿
絵ろうそくの 絵の菊の花(*)
歌稿
遠景の 近づく如く(*)
歌稿
円卓を 囲む二時間(*)
歌稿
縁日に 何を売るより(*)
歌稿
縁日は いづこなりしか(*)
歌稿

オアシスの かなたの風の(*)
歌稿
追ひかけて 来し自転車は(*)
歌稿
老い母を 伴ひゆける(*)
歌稿
黄金に 飾られて死後は(*)
歌稿
黄土いろ なす麦畑(*)
歌稿
大分の 冬は如何にか(*)
歌稿
大いなる スパナの形 夢に来て(*)
歌稿
大いなる マスクのままの(*)
歌稿
大写しと なれる冬芽の(*)
歌稿
大柄の 絣なりにし(*)
歌稿
大き音を 立てゐしわれの(*)
歌稿
大きさの まちまちにして(*)
歌稿
大き手に 千切られて浮く(*)
歌稿
大きなる 白の芍薬(*)
歌稿
大き耳 垂れし小犬を(*)
歌稿
大き輪を 持つ土星の絵を(*)
歌稿
大空に 道はありとも(*)
歌稿
大粒の 黒の真珠を(*)
歌稿
大粒の 葡萄をむきて(*)
歌稿
大橋の 架かれる今も(*)
歌稿
祖母(おほはは)の 寝物語の(*)
歌稿
尾を曳く やうな形となりて(*)
歌稿
尾を振りて 道に遊べる(*)
歌稿
大宮に 住むわれも京都に(*)
歌稿
おほよそは 立ち入りがたき(*)
歌稿
御菓子と いふもをかしければ(*)
歌稿
起き出づる よすがとなるも(*)
歌稿
起きゐても 仕方がないと(*)
歌稿
置き去りの 自転車見れば(*)
歌稿
置き手紙 短く書きて(*)
歌稿
オキナグサ ほほけて吹かれ(*)
歌稿
沖縄の 人の作れる(*)
歌稿
沖縄の 姫の作れる(*)
歌稿
起きぬけに 桔梗ひともと(*)
歌稿
沖よりの 風になびきし(*)
歌稿
屋上に 眺めてあれば(*)
歌稿
屋上の コートにテニス(*)
歌稿
臆病に なりたるしるし(*)
歌稿
奥ふかく ねがひ持ちて(*)
歌稿
奥まれる 祠の窓の(*)
歌稿
送り火を 焚かむとをれば(*)
歌稿
送り火の 消えて幾たり(*)
歌稿
幼き日 長崎絵にて(*)
歌稿
幼くて はらからつどひ(*)
歌稿
をさな子を 二人まきこむ(*)
歌稿
幼子が 運び入るるに(*)
歌稿
幼子に 帰れるごとく(*)
歌稿
幼子に 連凧見せて(*)
歌稿
幼子の 背の丈ほどの(*)
歌稿
幼子の 手を引く母も(*)
歌稿
幼子の ひしと握れる(*)
歌稿(明治記念綜合大会)
幼子の 見つめてやまぬ(*)
歌稿
教へ子の 一人も整理(*)
歌稿
おしのけらるゝ のみの生きざまは(*)
歌稿
襲ひゆく 勢ひを見す(*)
歌稿
遅くまで 点し火花の(*)
歌稿
お祖師さまの 祭りに赤き(*)
歌稿
おちつかぬ 思ひなりしが(*)
歌稿
落ち尽くす まで待ちてみむと(*)
歌稿
落ち葉積む 上にこぼれし(*)
歌稿
音粗く 日は経つものか(*)
歌稿
おとがひの 長き百済の(*)
歌稿
落とし来し ライター思へば(*)
歌稿
落としたる 何とも知れず(*)
歌稿
音立てて ころがるならむ(*)
歌稿
音立てて 咲くといふ(*)
歌稿
音立てて しじに動くは(*)
歌稿
音立てて 散りしならずや(*)
歌稿
音立てむ ばかりかさねて(*)
歌稿
踊って踊って そのまま戻らぬ(*)
歌稿
訪ひて 来し民生委員の(*)
歌稿
音のせぬ 車のひたと(*)
歌稿
音のなき 球体ならめ(*)
歌稿
音までは 覚えてゐなくて(*)
歌稿
をとめの日 四年を奈良に(*)
歌稿
をとめ二人 ボートに乗せし(*)
歌稿
音もなく 低く焔を(*)
歌稿
音もなく 人の殖えくる(*)
歌稿
衰へし 薔薇のたちまち(*)
歌稿
衰へて よろぼふさまを(*)
歌稿
同じ病に 苦しむ人の(*)
歌稿
同じやうに 去年も問ひにき(*)
歌稿
鬼などの ゐるを言はれて(*)
歌稿
おのづから 双手の指の(*)
歌稿
おはらひを 受けしグリーンの(*)
歌稿
覚えなくて よきことも覚え(*)
歌稿
思ひゐし よりも手早く(*)
歌稿
思ひ出づる ことのはろけく(*)
歌稿
思ひ出づる 言葉は寒し(*)
歌稿
思ひがけず ガラスに映り(*)
歌稿
思ひ出は 走馬灯のごと(*)
歌稿
思ひのほか 空やはらかく(*)
歌稿
思ひみる 理由といふも(*)
歌稿
思ふことの 成らざらむ日を(*)
歌稿
思ふさへ うとましき日の(*)
歌稿
思ふさま 言ひゐたりしか(*)
歌稿
思ふさま 朱線を引くも(*)
歌稿
おもかげが 先に目に湧き(*)
歌稿
おもかげの 異なる村に(*)
歌稿
おもちゃの銃に 撃たれて死ねば(*)
歌稿
思ほえず めがねをかけたる(*)
歌稿
思ほへば 風媒花なる(*)
歌稿
おもむろに 語り出でつつ(*)
歌稿
思はざる 偽りも言ひて(*)
歌稿
思はざる 視野はひらけて(*)
歌稿
思はざる 長居を強ひて(*)
歌稿
思はざる 人の心も(*)
歌稿
親元を はなれて学び(*)
歌稿
をりをりに 思ひ出でては(*)
歌稿
をりをりに 帰る意識に(*)
歌稿
をりをりに 書き出され又(*)
歌稿
をりをりに ガラスを拭きて(*)
歌稿
をりをりに から回りのやうな(*)
歌稿
をりをりの 思ひのごとく(*)
歌稿
をりをりの 父の言葉も(*)
歌稿
折り紙に オルガンを折り(*)
歌稿
折り鶴の 尾よりほどけて(*)
歌稿
降りて来し 子雀の背に(*)
歌稿
降りて来て 眺めてはまた(*)
歌稿
をりふしに 痛き言葉も(*)
歌稿
をりふしに 水は光を(*)
歌稿
オルゴールの トロイメライが(*)
歌稿
オロシアの 大投手日本に(*)
歌稿
終らすすべは つひになかりき(*)
歌稿
追はれても 走り得ざりば(*)
歌稿
温室の 高温多湿(*)
歌稿
おん寺に 防火訓練(*)
歌稿
オンドルに まどゐするころ(*)
歌稿
女ゆゑ かかるよろこびも(*)
歌稿
女らしく やさしくゐたる(*)
歌稿

カーテンを 替へて気分を(*)
歌稿
カーニバルの かの日思ふに(*)
歌稿
外国へ 子らは翔ち行き(*)
歌稿
回顧的に なりて立ちゐる(*)
歌稿
改札に 立つ駅員も(*)
歌稿
改宗の 経緯を告げて(*)
歌稿
会場に カメラ三台(*)
歌稿
会場の 一つの核と(*)
歌稿
街上の うるほふ今日は(*)
歌稿
解説を 聞きても寒し(*)
歌稿
回想が ふとせつなくて(*)
歌稿
海藻の 束ときをれば(*)
歌稿
海藻の 林にひそみ(*)
歌稿
街灯の 円光のなかに(*)
歌稿
甲斐なしと 知れど今宵も(*)
歌稿
会果てて ひとり残らず(*)
歌稿
海兵の 一人帰らざりき(*)
歌稿
返しても 返しても送り(*)
歌稿
帰らざる 夫を待ちつつ(*)
歌稿
帰り来て コートを脱げば(*)
歌稿
帰り来て 坐ればもとの(*)
歌稿
返り来る 大金ありとふ(*)
歌稿
帰り来る 人あるごとく(*)
歌稿
帰り来む 仏らのため(*)
歌稿
帰りの時間 ばかりを気にして(*)
歌稿
帰りゆく ひとりのために(*)
歌稿
帰る鳥 来る鳥もみな(*)
歌稿
帰る人も 残さるる人も(*)
歌稿
還る日の つひになかりし(*)
歌稿
帰るべき 星あるごとく(*)
歌稿
蛙らに 何の合図か(*)
歌稿
顔をそむけ 懐くやうにして(*)
歌稿
顔のあたり 胸のあたりと(*)
歌稿
顔ばかり 見て立ちをれば(*)
歌稿
加害者の バイクの少年も(*)
歌稿
科学者の 彼ゆゑ吾に(*)
歌稿
案山子二体 仰向けにして(*)
歌稿
踵の低き 靴にして家を(*)
歌稿
屈まりて 花火しをれば(*)
歌稿
かかはらぬ 商談なれど(*)
歌稿
かかはりを 持たず過ぎゆく(*)
歌稿
かかはりの あるとも見えず(*)
歌稿
かかはりの なしとも言へず(*)
歌稿
かかはれる 人の心も(*)
歌稿
書きなづむ 手紙枯れたる(*)
歌稿
学園の ゴルフクラブか(*)
歌稿
学園の ゴルフクラブの(*)
歌稿
匿さむと するにあらねど(*)
歌稿
画数の 多き名前の(*)
歌稿
かくすこやかな わが両手あり(*)
歌稿
拡大し 見てゐる如き(*)
歌稿
確答を 与へぬ吾は(*)
歌稿
学寮に ありたるわれに(*)
歌稿
隠るると すればいづこか(*)
歌稿
翳となる 一面のある(*)
歌稿
崖に湧く 泉滝なし(*)
歌稿
影の如く 光の如く(*)
歌稿
影もなく 森に棲むとふ(*)
歌稿
下降する 風圧の強さ(*)
歌稿
かこまれて あれば賑はひ(*)
歌稿
過去も未来も ひそめてただに(*)
歌稿
傘をさす ほどにあらねど(*)
歌稿
傘をさす ほどにもなくて(*)
歌稿
傘を直し 包丁を研ぎて(*)
歌稿
風上の コート取るるや(*)
歌稿
笠雲の 写真撮らむと(*)
歌稿
傘させば やや浮き加減に(*)
歌稿
風下に あらねば何も(*)
歌稿
かさなると いふこともなく(*)
歌稿
かさね置く ものの崩るる(*)
歌稿
風道(かざみち)を 阻む夜の木々(*)
歌稿
飾られて 苦しき馬と(*)
歌稿
飾られて まこと楽しきかと(*)
歌稿
かじかみて 不自由さうに(*)
歌稿
かしましき 蛙なれども(*)
歌稿
ガジュマルの 根元の水の(*)
歌稿
かすかなる 重さかかげて(*)
歌稿
かすかなる 野火といへども(*)
歌稿
カステラを 切るぎざぎざの(*)
歌稿
瓦斯灯と 昔の文字を(*)
歌稿
かすみ草 生けつつをれば(*)
歌稿
風落ちて 物音絶えし(*)
歌稿
風邪薬を のみて寝(いね)むに(*)
歌稿
風寒き 水のほとりの(*)
歌稿
風すさぶ 心すさぶと 歩み来て(*)
歌稿
カセットテープの ピアノの音に(*)
歌稿
風のなかを 行かむに大き(*)
歌稿
風の日も 風吹かぬ日も(*)
歌稿(色紙)
風の町に 出てゆかむとし(*)
歌稿
風の夜の 雪にありしや(*)
歌稿
数へ切れぬ 傷と思へど ひとたびも(*)
歌稿
数へ切れぬ 抜き取り検査を(*)
歌稿
数へ見て 五十羽といふ(*)
歌稿
かそかなる 花持つ枝を(*)
歌稿
かそかなる よろこびに似て(*)
歌稿
かそかに松の 花粉こぼるゝ(*)
歌稿
片翳る 夕のさざなみ(*)
歌稿
片すみに 煉炭を置き(*)
歌稿
片空に わだかまる雲を(*)
歌稿
かたちよき 水差しを置く(*)
歌稿
勝たなければ 負けるゆゑ負け(*)
歌稿
酢漿草(かたばみ)の 家紋の什器(*)
歌稿
傾きて また立ち直る(*)
歌稿
傾けて わがなす歌の(*)
歌稿
片寄りて のみ生き来しと(*)
歌稿
かたよれる 考へ方か(*)
歌稿
かたはらに 峙(そばだ)ちてゐし(*)
歌稿
カタン糸の かたちはやさし(*)
歌稿
カチューシャは 髪飾りの名(*)
歌稿
勝つことを 思はずなりし(*)
歌稿
褐色の 泥のしづくを(*)
歌稿
假定して 思へることも(*)
歌稿
假定して 決めてゐしこと(*)
歌稿
金網を こまかく埋めて(*)
歌稿
金網の ほつれてゐたる(*)
歌稿
鼎といふ 文字思ひたり(*)
歌稿
かなしければ 手をさしのべて(*)
歌稿
カナダなる 砂糖楓の(*)
歌稿
必ずしも 凝り性のわれと(*)
歌稿
蟹料理の 店とぞ赤き(*)
歌稿
かの家の 紅梅の花(*)
歌稿
下半身 少し重げに(*)
歌稿
歌碑といふ もの建ちてより(*)
歌稿
寡婦と書く 欄あれば寡婦と(*)
歌稿
壁といひ 枠といひ身を(*)
歌稿
髪を梳きゐて よみがへらせし(*)
歌稿
神隠しに 会ひてはならず(*)
歌稿
髪型を 新しくして(*)
歌稿
紙包みの 底温かく(*)
歌稿
雷が 必ず鳴りて(*)
歌稿
紙の袋を 音立てて扱ふ(*)
歌稿
からからに 乾きてどこかに(*)
歌稿
ガラス板 乾きて少し(*)
歌稿
ガラス透かして 見る古渡りの(*)
歌稿
硝子すかして 見る道は更けて(*)
歌稿
落葉松の 疎林をつゝむ(*)
歌稿
刈られたる 草の匂ひが(*)
歌稿
刈りをへて 幾ほどもなく(*)
歌稿
かりそめに 人の見相を(*)
歌稿
借りて来し 男の傘も(*)
歌稿
枯れ芦の 擦れゐるのみの(*)
歌稿
加齢といふ すさまじきもの(*)
歌稿
枯れ枝を 海に突き出す(*)
歌稿
枯れ枝を つたひて垂るる(*)
歌稿
瓦礫の道を 歩むに難き(*)
歌稿
枯れ草も 燃えてしまへば(*)
歌稿
枯れ萩を 風に追はれて(*)
歌稿
カレンダーを 一枚めくり(*)
歌稿
辛うじて たどり着きたる(*)
歌稿
川上を めざして人の(*)
歌稿
川上に 何が待つらむ(*)
歌稿
川上は 田植ゑのときか(*)
歌稿
川岸は すでに暮れゐて(*)
歌稿
川底に 光は未だ(*)
歌稿
川幅の せまき鉄橋(*)
歌稿
川べりに 波うちてゐし(*)
歌稿
川水の 反射に光り(*)
歌稿
間隔も 高さもたがへ(*)
歌稿
観光の ための水車は(*)
歌稿
感傷癖も 次第にとれてゆく(*)
歌稿
感傷は 捨つべしと思ふ(*)
歌稿
感情の 赴くままと(*)
歌稿
関心を 持たざるわれに(*)
歌稿
冠雪の 山のニュースの(*)
歌稿
関節の ゆるぶことしと(*)
歌稿
かんそうきの ファンを替え呉れし(*)
歌稿
観点を 変へて見よなど(*)
歌稿
間道は 葛に覆はれ(*)
歌稿
艱難 汝を玉に(*)
歌稿
観音は 高きところに(*)
歌稿
漢方の 匂ひは致し(*)
歌稿
潅木の くらき根元を(*)
歌稿

黄揚羽の いざなふままに(*)
歌稿
機械より 正確などと(*)
歌稿
気がかりな 白のありてか(*)
歌稿
気がつけば 既におはさず(*)
歌稿
黄菊白菊 丈高く咲き(*)
歌稿
聞き慣れぬ 電話の声に(*)
歌稿
木々のみな 芽ぶかむとする(*)
歌稿
聴くことも 苦行の一つ(*)
歌稿
着くづして いよよ美しと(*)
歌稿
紀元二千 六百年の(*)
歌稿
技巧なき つきあひ故に(*)
歌稿
帰国して 間のなしといふ(*)
歌稿
きささげの 莢実の長く(*)
歌稿
きざしくる ほろびごころの(*)
歌稿
義肢あてて ゐしやも知れず(*)
歌稿
気象図に ふるさとは雪(*)
歌稿
気象通報の 時間となりて(*)
歌稿
傷口の 渇きてゐるに(*)
歌稿
傷つかぬ 程のあはさに(*)
歌稿
傷つけし ことに気づかず(*)
歌稿
北風の 東に回り(*)
歌稿
北国の 春告ぐる土(*)
歌稿
北国の ポプラ並木は(*)
歌稿
北国も 雪吊りを解く(*)
歌稿
北の窓 開く日もなく(*)
歌稿
北は水無瀬 南は帯解(*)
歌稿
吉日を 選びて取りに(*)
歌稿
亀甲の 金網はられ(*)
歌稿
切っ先を そろへて葦の(*)
歌稿
切先の 折れて曲がりて(*)
歌稿
狐をとる 罠を見たりし(*)
歌稿
絹糸の 髪とし聞きて(*)
歌稿
絹よりも 高値のセーターに(*)
歌稿
黄の色が 濃すぎるやうに(*)
歌稿
黄の色の 足らぬと思ひ(*)
歌稿
黄の色の 蘭が咲くとぞ(*)
歌稿
黄のいろは 梔子の実とぞ(*)
歌稿
昨日届き 今日は届かぬ(*)
歌稿
昨日に変らぬ 今日のわが身よ(*)
歌稿
昨日まで 咲きゐし蓮(はちす)(*)
歌稿
昨日も今日も 同じ湿原へ(*)
歌稿
木の皮の やうにざらざらに(*)
歌稿
黄の菊を 茹でて食べたりも(*)
歌稿
黄の小菊 あまたを盛りて(*)
歌稿
木の茂み 分けて匂ひを(*)
歌稿
気の遠く なるほどの樹齢(*)
歌稿
黄の箱と なりて昇りゆく(*)
歌稿
黄の百合を 飾りたれども(*)
歌稿
黄ばらより 紅ばらも垂れて(*)
歌稿
君に唯一の 対象として(*)
歌稿
君の匂ひが 恋ひしくてふと(*)
歌稿
キメラなど 見ゆるならねど(*)
歌稿
逆転の あるはずもなく(*)
歌稿
キャスターが 早口言葉の(*)
歌稿
キャベツとは 玉菜のことと(*)
歌稿
九階より エレベーターに(*)
歌稿
急行の しばしとどまる(*)
歌稿
休耕の 田にいつまでか(*)
歌稿
休日の 続けば遠く(*)
歌稿
九州は 朝より雨と(*)
歌稿
急速に 足弱りたり(*)
歌稿
急速に 傾くわれの(*)
歌稿
急速に 過ぎゆくにものを(*)
歌稿
急速に 冷えてかたまり(*)
歌稿
急速に 不利に傾く(*)
歌稿
牛乳を 啜りつゝ噛む(*)
歌稿
境界を くぎりてひとすぢ(*)
歌稿
今日聞きし 言葉の一つに(*)
歌稿
今日来しは 三冊のみと(*)
歌稿
今日来れば 枯れ蓮は刈り(*)
歌稿
狂言師の 歩き方など(*)
歌稿
教室の 窓のガラスに(*)
歌稿
教卓に 椿の花を(*)
歌稿
今日といふ ひと日くれゆく(*)
歌稿
郷土館の 舟の模型(*)
歌稿
今日の日の 何予告して(*)
歌稿
享保の雛も 寛永雛も(*)
歌稿
今日も昨日も 同じことを(*)
歌稿
今日もまた むし暑からむ(*)
歌稿
今日は来て 山の桜の(*)
歌稿
局員の 去りたるあとの(*)
歌稿
拒食症の 数日過ぎて(*)
歌稿
巨樹の 根方めぐりて(*)
歌稿
きらきらと 川の光に(*)
歌稿
きらびやかに ワルツ舞ひたき(*)
歌稿
きららかに ありにしものを(*)
歌稿
きららかに 耳輪・首飾り(*)
歌稿
切り株の ごとくに坐して(*)
歌稿
ぎりぎりに 命つなぐ身も(*)
歌稿
切り口に 杉の匂ひの(*)
歌稿
切り口の 光りて黒き(*)
歌稿
切子ガラスの 水差しを置く(*)
歌稿
切り捨つる ことにつたなく(*)
歌稿
霧のなかに 男の声が(*)
歌稿
霧の夜の ネオンの青は(*)
歌稿
きれぎれに 起きて仕事し(*)
歌稿
きれぎれに なりつつ生きて(*)
歌稿
黄は何を 意味せしならむ(*)
歌稿
窮まりし ものとある夜は(*)
歌稿
銀いろの スプーンはわれが(*)
歌稿
禁煙パイプ 思はぬところに(*)
歌稿
銀座より 晴海通りに(*)
歌稿
金属の 駅のベンチの(*)
歌稿
禁猟区と 掲示されゐて(*)
歌稿

ぐいぐいと 花突きあぐる(*)
歌稿
空席に ひらりコートを(*)
歌稿
偶然の ことと思へど(*)
歌稿
クーラーの 風を浴びゐる(*)
歌稿
クーラーの 冷気をしばし(*)
歌稿
クーラーは 木枯らしの如き(*)
歌稿
クェートの 油田の火災(*)
歌稿
茎長く 石蕗は咲き(*)
歌稿
釘をさす といふことのあり(*)
歌稿
釘の音 金槌の音(*)
歌稿
くぐもれる 声を寄せ合ひ(*)
歌稿
草を刈る 音と思ひて(*)
歌稿
草枯れて あらはとなりし(*)
歌稿
くさぐさの 花置く狭き(*)
歌稿
草の実の こぼれてゐたる(*)
歌稿
くさむらを 飛び立ちて来し(*)
歌稿
草むらに 新しき小石の(*)
歌稿
草萌えの 土手は護岸の(*)
歌稿
鎖鳴らす 小犬にまたも(*)
歌稿
櫛形の 月とは今は(*)
歌稿
孔雀石の 粉末を瞼に(*)
歌稿
孔雀明王の 孔雀も屋根の(*)
歌稿
釧路の海の 流氷を見ずやと(*)
歌稿
くすの木は 枝ひろげゐて(*)
歌稿
くづほれて そのまま畳に(*)
歌稿
葛の葉は 青々として(*)
歌稿
崩れさうな 雑誌の束も(*)
歌稿
くづれゆく 体と思ひ(*)
歌稿
くちずさむ ワルツのふしに(*)
歌稿
くちずさむ ワルツのふしよ(*)
歌稿
くちばしの 短き雀は(*)
歌稿
くちびるを 紫にして(*)
歌稿
くちびるの 色を失ふ(*)
歌稿
口もとに 感触はふと(*)
歌稿
靴音を 伴はぬ軽き(*)
歌稿
くつくつと 音に鳴くのみ(*)
歌稿
ぐつぐつと 身の近くまで(*)
歌稿
掘削機は そこまで来居て(*)
歌稿
句読点 つけゐるやうに(*)
歌稿
配られし 松花堂弁当の(*)
歌稿
首回し 垂れたる髪を(*)
歌稿
ぐみの花 咲きてゐたるは(*)
歌稿
雲を抜く 教会の塔の(*)
歌稿
雲の継ぎ目を 洩れて日の差す(*)
歌稿
曇りては 又晴れて澄む(*)
歌稿
くらがりの 夏至祭に人の(*)
歌稿
クラクション 短く鳴らして(*)
歌稿
ぐらぐらと 波まで見えて(*)
歌稿
蔵深く 蔵はれて代を(*)
歌稿
グラフ書くは たのしかりしよ(*)
歌稿
クリーク・ジャンクと 影絵の(*)
歌稿
クリークの 暗き流れに(*)
歌稿
くり返す 妥協いつしか(*)
歌稿
クリスチャンの 友垣なれば(*)
歌稿
クリスマスの まま残されし(*)
歌稿
栗の花 咲きてゐし日と(*)
歌稿
九輪桜 共に見たるは(*)
歌稿
グリンピースの ごはんを明日は(*)
歌稿
狂ひたる 夜を知らぬが(*)
歌稿
狂ふこと 先づは無からむ(*)
歌稿
狂ふ日の われにあるとは(*)
歌稿
狂ほしく 上下左右に(*)
歌稿
狂ほしく とびめぐる黄の(*)
歌稿
苦しかりし ひと日を終へむ(*)
歌稿
苦しければ 飲むほかあらず(*)
歌稿
苦しみて 若き日をありし(*)
歌稿
来る人も なくて日が暮れて(*)
歌稿
車の屋根に してゐし(*)
歌稿
車より 降りししじまに(*)
歌稿
車より 遠くは行かず(*)
歌稿
車より 門までの距離(*)
歌稿
くれあひの 空となりつつ(*)
歌稿
クレープペーパー たわめて薔薇を(*)
歌稿
クレーン車が そこまで耒ゐて(*)
歌稿
クレーンなどに 吊られてなるかと(*)
歌稿
くれなゐの 大き花びら(*)
歌稿
くろぐろと 草の実垂るる(*)
歌稿
黒潮の 北上はどの(*)
歌稿
黒真珠を 先に買ひたる(*)
歌稿
黒土を 踏みて固めて(*)
歌稿
黒のウール 裁たむとゐるに(*)
歌稿
軍手などを たばねて売れる(*)
歌稿

経験の 乏しきわれは(*)
歌稿
軽微なる 地震といへど(*)
歌稿
鶏卵は 茶色がよしと(*)
歌稿
渓流に 幾万の稚魚を(*)
歌稿
競輪に あぶれたる者(*)
歌稿
競輪に 行く人ら群れて(*)
歌稿
競輪の 帰りの祥を(*)
歌稿
ケープタウンの あたりより来し(*)
歌稿
ケープタウンの 沖に沈みて(*)
歌稿
ケープタウンの またその南の(*)
歌稿
消しゴムの 見つからぬ日と(*)
歌稿
消しておく テレビの持てる(*)
歌稿
夏至の日も いつしか暮れて(*)
歌稿
下車したる 途端に思ひ(*)
歌稿
化粧品の ビルなりにしが(*)
歌稿
結局は 農家に嫁ぐ(*)
歌稿
欠航に 忽ち孤立し(*)
歌稿
月末に 入れかへて置く(*)
歌稿
月面に 人の立てたる(*)
歌稿
毛の国の 国の境の(*)
歌稿
毛の帽子 かぶりて眉の(*)
歌稿
毛の帽子 まぶかにかぶり(*)
歌稿
ゲリラ戦 なほありと伝ふる(*)
歌稿
弦楽の 冴えざえと鳴る(*)
歌稿
玄関を うしろに立てる(*)
歌稿
玄関の 戸が大きければ(*)
歌稿
玄関の 人形の辺に(*)
歌稿
玄関の 花をフリージアに(*)
歌稿
原稿を 取りにしばしば(*)
歌稿
県境の 町は忽ち 暮れ切りて(*)
歌稿
原産地 コロンビアあたりと(*)
歌稿
原子雲の 如くひろがり(*)
歌稿
現実と 理想と不意に(*)
歌稿
現実に 見たる如くに(*)
歌稿
現実は 温室ならずと 夫の言ふ(*)
歌稿
剣術に 長けゐるも知り(*)
歌稿
原子力 発電を問ふ(*)
歌稿
県政を 担ふといへど(*)
歌稿
眷属の 煩はしさより(*)
歌稿
現物を 見しことなきに(*)
歌稿
現物を 見たることなく(*)
歌稿
県北の 町へ行きゐて(*)
歌稿
絢爛の 和紙を畳みて(*)
歌稿
権力に 屈するか何に(*)
歌稿

鯉たちに 齢といふは(*)
歌稿
仔犬ほどの ぬくもりと思ふ(*)
歌稿
行員の 手に扇形の(*)
歌稿
公営の 薔薇園なりし(*)
歌稿
公園の 白き木馬は(*)
歌稿
轟音を 聞きし思ひせりき(*)
歌稿
高架より 見下ろすわれの(*)
歌稿
広告の 多くなれども(*)
歌稿
工事場が 上手にありて(*)
歌稿
校舎より 少しはなれて(*)
歌稿
降神の 術などもちて(*)
歌稿
香水など ふりてみたしと(*)
歌稿
香水の 空き瓶あまた(*)
歌稿
洪水は 一夜に引きて(*)
歌稿
航跡雲 ひとすぢながれ(*)
歌稿
後退し 曲がらむとする(*)
歌稿
紅茶冷やすと 水流れゐし(*)
歌稿
構内の 並木を抜けて(*)
歌稿
こふのとりが 煙突に巣を(*)
歌稿
紅梅の 咲きはじめたる(*)
歌稿
好物と 知られし今は(*)
歌稿
公民館と われはそのまゝ(*)
歌稿
蝙蝠傘は 濡れたるままに(*)
歌稿
蝙蝠の 飛べるを仰ぐ(*)
歌稿
洋傘(かうもり)は 大き音して(*)
歌稿
紺屋町 肴町など(*)
歌稿
紅葉の 谷を幾つ(*)
歌稿
紅葉の ヘアピンカーブ(*)
歌稿
効用の ままに大きく(*)
歌稿
声あげて 人は言へども(*)
歌稿
声立てぬ ものはやさしく(*)
歌稿
声のして 呼ばるるわが名(*)
歌稿
声低く あきなはれゐる(*)
歌稿
声低く 人ら寄りあひ(*)
歌稿
子を生みしは 網膜剥離(*)
歌稿
コードレス 電話しばしば(*)
歌稿
コーヒーを 売る店の前(*)
歌稿
コーヒーを 断ちて幾とせ(*)
歌稿
コーヒーの 豆挽きをれば(*)
歌稿
凍りたる 雪道をふみ(*)
歌稿
凍りつける 如くに坐り(*)
歌稿
氷詰めに されゆく過程(*)
歌稿
凩一号が 明日は吹くらむ(*)
歌稿
木枯らしに 法衣吹かれて(*)
歌稿
木枯らしの あとの夕映え(*)
歌稿
木枯らしの 中行きしとき(*)
歌稿
木枯らしの ゆくへ思へば(*)
歌稿
木枯らしは 人攫ひの声よ(*)
歌稿
古稀の日の 近づきてゐて(*)
歌稿
刻限と なりてシャッターを(*)
歌稿
ご功徳は 変はらぬらむか(*)
歌稿
黒板に 亡き人の名の(*)
歌稿
黒板に 文字を書きゐて(*)
歌稿
国宝の 社殿の棟も(*)
歌稿
コクリコの 群落を分けて(*)
歌稿
こけむして 十字架と(*)
歌稿
心ある ものの如くに(*)
歌稿
心とは つね闇にして(*)
歌稿
心より 心にかよひ(*)
歌稿
五歳ごろ 川のほとりに(*)
歌稿
五歳にして 人の心を(*)
歌稿
来し方を 思はせて比喩は(*)
歌稿
個室とふ 空間にゐて(*)
歌稿
五十年 すぎてはくろがねの(*)
歌稿
五十年 経し奈良なれば(*)
歌稿
五十年も 前のことにて(*)
歌稿
誤植ゆゑ 取り上げられし(*)
歌稿
梢には 陽の残りゐて(*)
歌稿
子雀の いづれともなく(*)
歌稿
コスモスの 花を分けねば(*)
歌稿
五線紙を たどりゆきつつ(*)
歌稿
胡蝶花と 書けばやさしき(*)
歌稿
骨格まで ほどけてしまふ(*)
歌稿
国境に 氷れる大河(*)
歌稿
ごつとんと 揺れて醒むれば(*)
歌稿
小粒なる 雀なりしを(*)
歌稿
琴糸を 買ふ友を待つ(*)
歌稿
言の葉の あらぬやさしさ(*)
歌稿
言葉少なに をりにし人の(*)
歌稿
諺の 次々に浮かび(*)
歌稿
こなごなの ステンドグラス(*)
歌稿
この畦を このまゝゆかば(*)
歌稿
子のころは 野中の一軒家(*)
歌稿
この仕事 終へなば次は(*)
歌稿
木下闇 抜けて出づれば(*)
歌稿
この月は 見落として見ず(*)
歌稿
この年に 来むかがよひを(*)
歌稿
この齢(とし)に 何がさびしと(*)
歌稿
この年の 仕事はじめに(*)
歌稿
この年も 蓮の花あまた(*)
歌稿
この年は 五千羽といへる(*)
歌稿
子のなきを 言ふにあらねど(*)
歌稿
この夏は もう着ぬ服を(*)
歌稿
こののちの いかほどか今朝(*)
歌稿
この冬も 終はらむとせり(*)
歌稿
このまゝに 隠しおほせて(*)
歌稿
この夜また 手負ひのままに(*)
歌稿
小走りに 行くは家鴨よ(*)
歌稿
小春日の なか行く電車(*)
歌稿
五匹ゐし 仔猫は見えず(*)
歌稿
語尾を濁して 語る人のみ(*)
歌稿
古風なる ヒロインを描きし(*)
歌稿
呉服町と いへる通りの(*)
歌稿
古墳なす 山を見をれば(*)
歌稿
五分ほどの 時間の誤差を(*)
歌稿
こぼしたる 牛乳はわが(*)
歌稿
こぼれ易き 黄粉を左の(*)
歌稿
小町糸の 赤もて縫いし(*)
歌稿
こまやかに 鋏の先を(*)
歌稿
混みあへる さま何に似む(*)
歌稿
来む世にも 必ず力士に(*)
歌稿
ゴムの木に しづかに水を(*)
歌稿
子もなければ 易き別れと(*)
歌稿
こもりゐの こころわびしき(*)
歌稿
こよひふと わが魂は(*)
歌稿
これ以上 知らば壊れむ(*)
歌稿
これ以上は 伸びぬ桔梗と(*)
歌稿
転ぶなよ 風邪をひくなと(*)
歌稿
こはさるる 用意されゐる(*)
歌稿
毀はれては またかき寄せて(*)
歌稿
紺色の 水着着てみな(*)
歌稿
コンクリート ジャングルに住む(*)
歌稿
コンクリートの 乾きて固まり(*)
歌稿
今秋は 運動会も(*)
歌稿
根柢を ゆすぶる何も(*)
歌稿
根柢を ゆする感激も(*)
歌稿
コンテナの 雪にまみれて 去りゐし(*)
歌稿
コンパスの 基軸ゆらぎて(*)
歌稿
根本を 誰も言はねば(*)
歌稿

サーカスに 売らるると聞き(*)
歌稿
サービスと ある紙入れて(*)
歌稿
西行の 見返りの松と(*)
歌稿
歳月を 消されむとして(*)
歌稿
歳月は ただに流れて(*)
歌稿
最後かも 知れぬと思ふ(*)
歌稿
さゐさゐと 紙さわだてて(*)
歌稿
歳時記に 拾ひ読みせし(*)
歌稿
最終の ニュースにとびこみ(*)
歌稿
採点の 甘き教師と(*)
歌稿
さいの目の コーヒーゼリーは(*)
歌稿
催馬楽の 舞を見し日も(*)
歌稿
歳晩の 花を供へて(*)
歌稿
冴え冴えと ありにしものを(*)
歌稿
坂下り くる自動車は(*)
歌稿
坂下の 波止場を遠く(*)
歌稿
坂の上の アトリエの窓(*)
歌稿
さかのぼる 思ひありたり(*)
歌稿
先を急ぐ 思ひいつしか(*)
歌稿
さきがけて 名乗らぬことを(*)
歌稿
さきざきの ことを思へば(*)
歌稿
咲きたけて 黒味を帯びて(*)
歌稿
咲き残る 小菊の黄色(*)
歌稿
先の先の ことと思ひて(*)
歌稿
前の世に 犯