みやこ町歴史民俗博物館/WEB博物館「みやこ遺産」

みやこの「ひと(先人の事績)」

寺田寅彦書簡

明治40年(1907)

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[表]
消印17日午前10時-11時
本郷区森川町一番地
柳瀬方
 小宮豊隆様
    小石川区原町十
     寺田寅彦


[裏]
僕がかつて世話になつた商人からパテントの広告目録へのせるる(ママ)からと云ふ文句の英訳と独訳を頼まれた。独逸(ドイツ)の方は僕にはだめ故。君暇があつたら訳してくれませんか。其文句の注文は次の通り
一、責任ある外科医は必ず善良なる繃帯を撰ぶ。繃帯の良否は直ちに患部の経過如何に関すればなり
二、人道を重んずる工場主は其の医務室に必ず善良なるガーゼと繃帯とを備へ置かざるべからず。疾病と創傷との生ずるは予め側り知るべからざればなり
三、多数の人の集る所には此頃必ず救護団なるものあり 然れども其の使用する薬物と繃帯材料にして善良ならざれば救護団は却て人を害ふ事あるべし
此の翻訳には僕も少々閉口。どうか助けてくれ玉へ。
近頃は先生所へは御無沙汰して居ます。従て諸君の御顔も見られず聊(いささ)か孤独の感があります。も少したつたら暇が出来るだろうと思つて居ます

     十一月九日  寅彦