みやこ町歴史民俗博物館/WEB博物館「みやこ遺産」

みやこの「ひと(先人の事績)」

寺田寅彦書簡

大正9年(1920)

625_001    625_002
画像の拡大
(画像は原文とテキストの並べ重ねができます)
[表]
消印(月日不明)午後(時間不明)
赤坂区青山南町
六ノ一〇八
 小宮豊隆様
     本郷曙町十三
      寺田寅彦


[裏]
御端書拝見」 昨日行かうかと思つたがあんまり風が吹くのでよしたが行かなくてよかつた、今朝は曇つて寒さうなのでやめて本をよんで居たらいつの間にか非常にいゝ天気になつて居た、」 なにしろ余程天気と胃の工合とがよくないと都合が悪いが其内行かれたら行きます、しかしどうなるか分りませんからどうか待たずにかまわずに願ひます。」 「球根」が活版になつたのを読み直して見たがなんだかいやになりました、今度行く時に御目にかけましやう。」 此の二三日は又少し倦怠期に入つて何も出来ません 読み度い本は山積して居るがし方がない。」 十年前に別れた切りであつた男が上海から帰つて来ていろ/\の奇談を聞きました。生きて居る猿の脳味噌を食ふなどゝいふ話もあつた。新嘉坡(シンガポール)でゴム林の草取人足の監督をやつて居ると或日竜巻が遠方から襲つて来た、それを見て居る内に妙に悲しくなつたと思ふと、寒気がして来た、そして四十二度程の熱が出て来て、マラリアになつた、などゝいふのも面白いと思ひました。    十二月廿一日