みやこ町歴史民俗博物館/WEB博物館「みやこ遺産」

みやこの「ひと(先人の事績)」

寺田寅彦書簡

大正9年(1920)

620_001    620_002
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[表]
消印午後5時-6時
赤坂区青山南町六ノ一〇八
 小宮豊隆様
     本郷曙町十三
       寺田寅彦


[裏]
日光行の御話し面白く拝見しました。さういふ話を聞いても何だか旅行がし度くてたまらない。」昨日と今日二日で久し振りに油絵をかいた、例の簑虫の居る紅葉をかいたのだがやつぱり物にならなかつた」 一昨夜松根君が来て例の通り芸術論をやつて面白かつた。僕は絵画は新派(形式の自由)に賛成するのに俳句の方は新派を非とする事の矛盾に気がついたが此れは矛盾でなくて絵と俳句の根本的の差から来る区別のやうな気がしますが君の御考はどうでしやう」渋柿の十二月号へ君の「三枚つゞき」といふのが出るさうで大に楽しみにして居ます。」 正月号には旅日記をやすんで何か外のものを書けといふので引受けました、木螺の方は少し休んで君の方へでもおつゝけやうとしたが、やつぱり書き度くもあるので此れも引受けました。此れもマゾヒズムスの一種かも知れない」妻が顔面神経痛で二三日ねられて、それに天気が悪くて陰気で困つたが妻の方はもうよくなりました」 其の内一辺又来て下さいませんか