みやこ町歴史民俗博物館/WEB博物館「みやこ遺産」

みやこの「ひと(先人の事績)」

寺田寅彦書簡

大正9年(1920)

618_001    618_002
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[表]
消印(月日不明)午後5時-6時
赤坂区青山南町
六ノ一〇八
 小宮豊隆様
     本郷曙町十三
      寺田寅彦


[裏]
其後風邪は如何ですか、不相変見物の御案内ではやり切れまいと御察し申します、」 二階から近所中を見渡すと色〻の樹の葉が色〻の色をして居て実に奇麗なので油でゝも描いて見度くなるが、変化の急なのもつかまへ処が六かしさうなので未だ手が出ません。」 今日は天気の悪いせいか朝から頭の工合が変で、床をはなれず珍しく昼寝をして一層気持が悪くなつて殆んど何もしないで暮しました」 アラヽギの古泉千樫(こいずみちかし)といふ人から左千夫歌集を送つてくれました、そして何か思つた事をアラヽギヘ書かぬかと云はれました。此れから一返読んで考へて見やうと思つて居ます。処が其の古泉氏のアドレスが矢張り青山南町六ノ一〇八なのでなんだか不思議な気がしました。何も不思議はないんだけれ共、赤坂青山の方面で外に誰れも縁故のある人がないと思つて居る処であつたし、もう一つは六ノ一〇八は全部知つて居るやうな気がして居たので少し驚きました    十一月廿日