みやこ町歴史民俗博物館/WEB博物館「みやこ遺産」

みやこの「ひと(先人の事績)」

寺田寅彦書簡

大正9年(1920)

565_001    565_002
画像の拡大
(画像は原文とテキストの並べ重ねができます)
[表]
消印(月不明)14日午後1時-2時
赤坂区青山南町六ノ一〇八
 小宮豊隆様
    本郷曙町十三
       寺田寅彦


[裏]
十三日の御端書拝見しました、なる程金米糖先生の好評嘖々(さくさく)たるもので余り厭でもありません、此れひとへに豊隆先生の指導宜しきを得たるによるに相違ないので大に君におごるべきだと思ひます、便の検査も一先づやめます(今日から)から御都合のいゝ日に何処かへ御案内したいと思ひます、尤も奥さんがすつた(ママ)り平生になられてからにした方が小生も落着いた心持になれるからそうなつたら何処か御伴しましやう。」 今度の水曜か木曜に真鍋さん処でX光線で胃の検査をして貰ふ事になつて居ます。裸にされて立たされてそして変な物を食ふ処を大勢の助手達に見られるのが厭だけれ共しかたがない」 奥さんや御子さんは御日立ちは宜しいのですか その内に又行き度いと思つて居ます。絵の溜飲を吐きたくて困るから」「パンとそば」も面白いが此の次は「顔」といふ題で百枚位の大論文をかゝうかと思つて居る、もし出来たら又よろしく御叱正を願ひます」 メルキユールにあるベルナールのセザンヌ論を読みかけたが余り面白くないので中止してあります、其内読んでしまひましやう、セザンヌの欠点を論じて居る処が多少のねうちがありさうです