みやこ町歴史民俗博物館/WEB博物館「みやこ遺産」

みやこの「ひと(先人の事績)」

寺田寅彦書簡

大正9年(1920)

[速達]
557_001    557_002
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[表]
消印午前9時-10時
赤坂区青山南町
六ノ一〇八
 小宮豊隆様
    本郷曙町十三
     寺田寅彦


[裏]
新小説の広告が出たから多分送つてくれるかと思つて待つて居たが来ないから買ひにやつて一覧しました、いろんな点で少し厭な気がした、第一紙の質が悪くて殊に僕の買つたのでは「風呂」の出て居る辺の紙が特別悪くて薄くて鼻紙にもならないやうなものです、従て裏面の印刷が透いて見へて汚ならしい、最後の頁の裏が広告だからことにヒドイ。第二には三宅さんのを読んで見ると大分共通な事があつて真似でもしたやうであるし又人の縄張りへ侵入して居るやうな満員電車へ無理に割り込んで居るやうな気がして甚だ不愉快であります あんなものになるのなら「丸善」の方はもし未だ約束がないなら引つ込ませたいと思ひます。誤植もかなりにある」 滝田君がいつかの御婚礼の時に五月頃何か書かんかと言つて居た事を思ひ出したからなんなら其方を交渉して見ます」 神近市子のものは面白い、市子なるものが少しかわゆくなつて来た、」昨日塩鮭の切身を油画でかいて見た、中〻六かしい
      五月四日