みやこ町歴史民俗博物館/WEB博物館「みやこ遺産」

みやこの「ひと(先人の事績)」

寺田寅彦書簡

大正8年(1919)

487_001    487_002
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[表]
消印午後0時-1時
京橋区築地
製版所十三号室
 小宮豊隆様
    本郷曙町十三
      寺田寅彦


[裏]
先日は失礼、バッテンの件が分つた由にて大慶に存じます 発音は或はバツンかも知れないがマアバトンとして置けば当らずとも一番近い事になるかも知れない、」 風月を御馳走して下さるそうですが小生は西洋料理の魚肉や卵はあまり好きでないからなるべくなら獣鳥肉にして下さい、尤も歯がわるいから柔い肉でないと困る それでは矢張り魚肉にしてまけておきましやうか」 此間は拙画を御目にかけて定めて大に中毒症状を呈された事と御気の毒にも存じます、御帰りになつてあとからもう少し何とか画の事を云つて来て下さるかと思つて居たが一向何とも音沙汰がないから少〻不平であります、もう少し批評をしてそれから少しおだてないとヤッパリ駄目ですよ、奨励の為に少し批評し且つほめて下さいませんか、」僕も画をやり出してから急に謙譲の美徳を備へて来ましたよ
十三号室を写生したいがどうも人にかいて居る処を見られそうで勇気が出ません、後世の為に一枚写しておきたいんだが