五條市教育委員会/中家文書調査報告書

中家文書調査報告書

第三章 解説

第八節 その他

第六項 世相風刺

 〔箱2-21〕「新撰伊呂波歌」は、維新の新政府を皮肉った伊呂波順の「歌」である。版籍奉還・静岡藩の取り立て・東京遷都・横井平四郎(小楠)の殺害など年次が明白な「歌」も含まれている。その中から幾つかを紹介しておく。「一寸先はやみ 御一新の御改革」、「論語よみの論語不知 太政官の御役人」、「二階から目薬 万民塗炭の苦を被為救叡慮の御布告」、「若イ時之しん亡ふ買ふてする 天子東都の出輦」、「短気は損気 会津桑名朝敵」、「豆腐にかすがい 府藩縣の知事」、「いわしの頭もしんじんからから 山陵の御修復」、「腐ても鯛 徳川家の七十万石」。
 当時の口説、ちょんがれ、狂歌などの資料が五條地域において結構発見される。町場として発展していた五條の地域社会において、当然のこととは言え、政治や世相を揶揄し風刺する批判精神に欠けていた訳では決してなさそうである。