五條市教育委員会/中家文書調査報告書

中家文書調査報告書

第三章 解説

第六節 吉野材木方口役銀と代官所

 仕法替え以降において、川上・黒滝両郷以外の他郷には、取立高の十分一銀を助成する制度が始まった。中家のこの文書群から十分一銀に関わる郷を抽出してみると、川上・黒滝両郷を除く吉野郡中の郷名が見出せる。これらを通して、一九世紀初期の吉野郡から吉野川を流下する材木量・金額のおおよそを知ることができると考えられるため、今後の研究の一助としてその一覧表を作成しておく。また、参考として、ここでは仕法替え運動の中心であった小川郷だけを例示しておこう。すべて翌年になってから前年度分を計上させている。掲げた【小川郷十分一銀一覧】は文書番号順に作成してあるのでわかりにくいが、亥年、つまり文化一二年(一八一五)から始まって巳年の文政四年(一八二一)までの小川郷へ下付する十分一銀の文書類であることを示している。巳年分の額は虫食いのため判読出来ない箇所があるが、小川郷のこの七年間の平均の十分一銀額は、少なくとも千六百匁強である。また、御領郷名分については、記載された文書は三文書しかないが、それぞれに辰年分(巳年に計上)・亥年分と子年分・丑~卯迄三ヶ年分が支払われる由が書かれ、実際は亥年~辰年の都合六年分なのである。
【十分一銀下付文書一覧】
郷 名文 書 番 号
加名生郷    6   42  102  115  130  170  233
池田郷    9   40  129  169  236
小川郷    1   51   60  114  127  177  234
官上郷   43  103  113  132  186  240
北郷    9
国栖郷    1   53   71  114  127  179  247
御領郷    9  145  151
三名郷   44  108  110  136  187  244
十二村郷    9
天ノ川郷    9  (15)  55  (68) 101  111 (137) 139  172 (231) 243
十津川郷    9
中庄郷   57  105  125  147  171  245
丹生郷    7   96  106  124  128  195  246
桧川郷    4   47  104  112  138  173  182  237
古田郷    9
宗川郷    5   52  107  126  146  173  250
竜門郷    9  140
備 考○天ノ川郷の15,68,137,231は洞川村の一村のみ ○240は「官上郷立石村甚三郎渡」とある。 ○天ノ川郷は上組・下組の区別がなされている。
○番号4,5,6,101,103,104,105,106,127,128,130,140,145,187,231は「十分一銀」と記されず、「口投銀」とのみ表記されている。 ○番号9の文書は竜門・池田・北・十津川・十二村・古田・天ノ川・御領の八郷分が記されている。

【小川郷十分一銀一覧】
番号年度十分一銀
1巳年分1,8□5.865
51卯年分1,616.872
60子年分1,869.26
114寅年分1,322.033
127丑年分1,624.513
177亥年分1,507.93
234辰年分1,564.032
備考○巳年分の□は虫食いで不明の箇所 ○額の単位は匁