五條市教育委員会/中家文書調査報告書

中家文書調査報告書

第三章 解説

第五節 五條代官所

第三項 掛屋・用達・郷宿

 春日若宮御祭りは、大和国における最大の重要な伝統ある大祭である。五條村が大坂代官所の管轄下にあった天明九年(一七八九)の場合は、「郡々惣代立會割方被成」たことを踏まえ奈良の用達道具屋清九郎・吉野屋善十郎方へ春日祭礼入用銀を納めるよう指示されている。五條代官所が置かれてからしばらくの間は、郡中代森脇屋久兵衛や用達当麻屋宗八郎がその業務を引き受けていた。文政三年(一八二〇)の武右衛門一件を契機としていると推測されるが、久宝寺屋藤助がこの頃に「御用金掛改用達」に就いている。その収納役は、明治期になる前後まで久宝寺屋藤助がほぼ継続して果たしたようだ。五條村が春日祭礼入用銀を負担した様子を示す具体的な史料が見当たらないので、参考までに西阿田村の場合を記しておく。毎年村で作成された「諸入用小前割賦帳」には、村費として計上された数多くの細目が列挙されている。その一つに「一 弐拾三匁弐分壱り 右者春日祭礼入用」などとあり、これらは村の百姓が持ち高に応じて負担した。村の百姓が連署した文書の「諸入用小前割賦帳」は代官所へ提出され、代官所によるチェックが実施された。代官所の公共的機能をよく示している。春日祭礼入用銀については、毎年年末の一一月か一二月に大坂代官所や五條代官所から廻状で幕領の村々へ連絡され、奈良や五條の掛屋(御用金掛改用達)が受納業務を担当した。
【春日祭礼入用銀と掛屋】
年次総額(匁)総割合古高(石)入用銀額
(匁/100石)
納付所納〆切典拠
天明9年
 12/14
7.651道具屋清九郎
吉野屋善十郎
12/20御用記
寛政7年
  11/
2,85039,962.5315①7.132(柏)
寛政8年
 12/3
7.676郡中代久兵衛
   順次郎
12/15御用記
 (柏)
天保13年
 11/21
3062.0940,305.9937.597御用金掛改
   御用達藤助
11/26箱1-49
天保14年
 11/20
3,065.140,922.6737.49②御用金掛改
   御用達藤助
11/25箱1-51
弘化元年
 11/18
3,065.140,922.6737.49御用達掛改藤助11/25箱1-51
弘化2年
 11/21
4,606.1361,498.17977.49御用金掛改藤助11/29箱1-51
弘化4年
 11/16
4,606.1361,498.17977.49御用金掛改藤助11月中箱1-24
嘉永元年
 11/7
3,931.3852,489.4557.49御用金懸改
   御用達藤助
箱1-24
嘉永2年
 11/22
3,931.3852,489.4557.49御用金懸改
   御用達藤助
11/29箱1-23
慶応2年
 12/4
56.58五條村源兵衛(柏)
明治3年
 12/6
金1分
永3.5文
五條村源兵衛箱1-50
備考○天明9年「御用記」は奈良県立図書情報館蔵、寛政8年「御用記」は五條市立図書館蔵、(柏)とあるのは柏田家文書 ○一覧中の年次は文書の日付、総額は代官所支配地において負担する全体額 ○負担する基準高となるのは古高。五條村の古高は308.9石余である。 ○納付所については、史料の表現をそのまま用いた。 ○①宇智郡2,695.857石、宇陀郡7,753.8875、吉野郡29,512. 787石の合計。吉野郡3名・宇陀郡2名・宇智郡2名の計7名の三郡惣代が割賦を行った旨を記している。 ○②は、史料では4.79匁となっているが、明らかに誤っているので訂正した。

【西阿田村の春日祭礼入用銀】
文書年次課税対象年納税額(匁)納税率
(匁/100石)
典拠
天保8天保728.39.13Dj43
天保9天保8227.1Dj37
天保12天保1123.927.72Dj55
天保12天保1223.97.71Dj40
天保14天保1423.217.49Dj44
弘化4,5弘化423.217.49Dj35,36
備考○典拠:北山家文書 ○一覧の額は西阿田村の負担額。西阿田村の古高は309.926石。納税率の値は筆者の算出値 ○典拠は北山家文書番号による。