五條市教育委員会/中家文書調査報告書

中家文書調査報告書

第一章 調査の経緯

 そのような中で、教育委員会では、平成二十二年(二〇一〇)十二月に「五條新町」の町並み(約七ヘクタール)が国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されたことを受け、平成二十三年度から地区内の建造物の修理・修景事業を開始し、住民の理解と協力を得ながら、町並みの保存・整備・活用を推進することとなった。
 この事業を適切に実施するためには、五條新町の歴史・文化を念頭に置く必要がある。町並みを構成する町家や寺院は、近世以降、たびたび水害や大火を経験してきたが、今なお、近世・近代の古文書・古記録類を数多く伝えている。これらの史料や道具類、さらには生活習慣や年中行事を調査・記録することで、重伝建地区の歴史を明らかにし、ハード的な建造物の修理・修景事業もより円滑に進めることができると思われる。
 また、住民の世代交替や生活様式の変化が特に著しい市街地では、それらの古文書、道具類は無論、慣習・行事まで喪失・忘却される現実も危惧され、ソフト的な文化財の保存が急務となっている。