浜松市立中央図書館/浜松市文化遺産デジタルアーカイブ

浜松市史 五

第四章 国際化の進展と新たな課題

第九節 文学・文化

第六項 郷土研究

終戦五十年の記念誌

 平成七年(一九九五)は、昭和二十年八月十五日の太平洋戦争終結からちょうど五十年目を迎えた年である。この戦争では戦場における数百万の戦死者のほか、米軍の広島・長崎への原爆投下による被災をはじめ、空襲による被災など国内における被害も甚大であった。浜松もそうした大きな戦災を被った都市の一つである。この年、日本国内で様々な記念誌が刊行されている。静岡県内についてみると、静岡新聞社から『静岡県民の暮らしにみる戦後50年』が刊行されたのが五月十九日。静岡県近代史研究会が機関誌『静岡県近代史研究』第21号において「特集 敗戦50年―改めて『戦争と平和』を考える」を組んだのが八月であった。浜松市でも八月に『広報はままつ』が「浜松の戦後50年」を特集しているが、注目すべき事業としては浜松市立中央図書館による『浜松市戦災史資料』(以下『戦災史資料』)の編集発行がある。

図4-46 『浜松市戦災史資料

【『浜松市戦災史資料』】
 浜松市は太平洋戦争による甚大な戦災の記録を後世に残そうと、昭和二十一年八月に臨時浜松市戦災史編纂部を設置し各方面から資料を収集した。資料の一部は既刊の『浜松市史』に取り上げられたが資料全体が刊行されることはなかった。この平成七年の段階で、その資料の多くが一冊にまとめられ刊行されることになったものである。『戦災史資料』はB5判、本文二百五十三頁より成り戦災史調査資料、浜松市空襲状況、管内昭和二十年六月十八日戦災対策概況、川上嘉市戦災歌集の四つの項目から成る。このうち戦災史調査資料は、市内の国民学校(二十三校)、旧制の公私立の中学校・高等女学校・実業学校(十三校)と浜松工業専門学校静岡第二師範学校、計三十八校における戦災の状況等をまとめたものである。それは各校ごとに次のような項目に分けてまとめられている。
 
  1名称  2位置  3戦災前の校地・校舎平面図
  4昭和十二年末―昭和十九年末児童数・学級数・職員数  5防空施設・防空訓練の概要
  6被災年月日と被害状況  7被戦災児童数・被戦災職員数  8罹災に対する其の後の善後処置及状況
  9昭和十九年十二月七日 震災被害状況 10昭和二十年八月十五日終戦当時の児童数・学級数・職員数
  11昭和二十一年八月十五日 一ケ年後の児童数・学級数・職員数
 
 7の項の被戦災児童数・被戦災職員数の数字は痛ましい。また9の項は東南海地震の記録と思われ興味深い。なお、『浜松市戦災史資料』は、続いて二(官公庁、企業などの戦災被害等)、三(防空訓練、防空施設、疎開、人口調べ等)、四(軍需工場、引き揚げ、空襲による死亡者名簿等)が発行された。このほか、浜松市立中央図書館には『私の戦争体験』―篠原地区の人達が語る戦後50年―(平成七年十二月八日刊、浜松市立篠原公民館同好会浜風会)や戦後五十年間の個人史などが保存されている。また、平成七年八月には終戦五十年を記念して浜松市立中央図書館において浜松戦災資料展が開催されている。