浜松市立中央図書館/浜松市文化遺産デジタルアーカイブ

浜松市史 五

第四章 国際化の進展と新たな課題

第四節 宗教・倫理

第一項 バブル経済期の伽藍構築

経年老朽化寺院の再建

 平成三年から顕著になった平成不況は、バブル経済の後遺症として金融機関は多額の不良債権を抱え、金融逼迫(ひっぱく)が実体経済の不況に波及した複合不況という状況を生んでいる。日本経済は「失われた十年」と呼ばれる長期不況に入ったのである。このような状況にもかかわらず、市内の寺院ではもはや経年の老朽化に耐えきれず、改築に踏み切る例が『静岡新聞』に見えている。もとより莫大な経費を要する案件ゆえに、檀家や支持者を確保し、時間をかけて議決されたに違いなかろうから、案件の発議はバブル期に動き出していると思われる。
 管見の限りではあるが新築・改築等の記事について、『静岡新聞』掲載日、寺院名(宗派・所在地)を拾うと次の通りである。
 
龍泉寺 井上義衍
 平成二年十月三日付記事では、明徳寺(曹洞宗・和地町)の本堂などは総工費一億円かけて新築し、同年九月三十日に落慶法要が執行された。平成六年三月二十八日付記事では、大應寺(曹洞宗大島町)は約二百年ぶりの本堂新築で、同年三月二十七日に落慶法要が営まれた。同時に晋山結制式も執行された。平成六年六月十四日付記事では、龍泉寺(曹洞宗半田町)の坐禅堂が六月十二日に落成したことを報じた。その面積約百三十平方メートルである。龍泉寺座禅会については第二章第四節第二項「仏教寺院の国際交流」で言及した。その夭々会の中心人物の水野欣三郎が作成した井上義衍(ぎえん)(玄魯義衍老師)の坐像除幕式も執行された。平成七年六月二日付記事では、東光寺(臨済宗妙心寺派・坪井町)本堂の四百年ぶりの新築を報じた。同年六月一日に落慶法要が執行された。その面積は四百三十平方メートルである。平成九年二月十九日付と同十年十二月一日付記事では、高蔵寺(臨済宗方広寺派高塚町)は昭和十九年の地震で倒壊し仮本堂のままであったのを、本堂・書院・位牌堂の建築で一新したことを報じた。本堂などの建築費用は約一億二千万円で、同年十一月二十九日に落慶法要が執行された。平成十年十一月二十三日付の記事では、玉傳寺(曹洞宗早出町)の本堂は建築後百二十年を経過していたが、平成四年に建設準備委員会が発足、以来七年越しの念願が成就した改築であることを報じた。同十年十一月二十一日・二十二日の二日間、落慶法要が執行された。平成十二年三月十五日付記事では、洞雲寺(臨済宗方広寺派神ケ谷町)の馬頭観音堂が住職と住民の熱意とによって再建、十二日に落慶法要が執行され、復活が果たされたことを報じた。

図4-25 井上義衍


図4-25 龍泉寺の坐禅堂と井上義衍老師