浜松市立中央図書館/浜松市文化遺産デジタルアーカイブ

浜松市史 一

古代編

第二章 古墳時代

第五節 後期古墳時代の遺跡

祭祀跡

 その時代の信仰に関連した資料として、祭祀遺物というものがある。都田町中津の坂上遺跡で発見された多数の土製品は、その祭祀遺物である。昭和三十七年(一九六二)六月、宮野午吉氏が自分の畑からつぎのような遺物を発見した。
 
①鏡・玉・剣の類 鏡七・勾玉四・剣一
②武器・武器の類 弓一・靱(ゆぎ)二・楯三・短甲二
③日常用具の類  椀 ・坏 ・臼五・杵二・甑(こしき)二・鎌一
④機織具の類   梭(ひ)一・筬(おさ)六・腰当一
⑤人形 男性五・女性五・子供三・不明一二
⑥獣形 犬三
⑦他に破片四六片

第36図 都田町中津坂上遺跡出土の祭祀遺物(浜松市立郷土博物館蔵)

 これらはすべて土製品で、勾玉以外はすべて実物を模した小形品である(第36図)。年代は六世紀代と推定される。この資料がどういう祭祀儀礼にさいして用いられたかという点は、もっとも知りたいことであるが、ほとんどわかっていない。何らかの農耕儀礼に関連したものと思うが、地名の坂上(さかうえ)と関連づけて「坂神」を祭ったものだという意見もある(向坂鋼二「浜松市都田町中津坂上発見の祭祀遺物」『考古学雑誌』第五〇巻第一号)。
 祭祀遺跡としては、この他に半田町上組の山寺(阿弥陀堂)遺跡と、曳馬町阿弥陀遺跡、それに有玉西町西畑屋遺跡などが知られていて、土製品の馬を含む資料が発見されている。しかし、それらの年代は、古くても七世紀末ごろと推定されるので、いま問題としている古墳時代の資料としては不適当であろう。