NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

7.教育、人物・伝記

■岐蘇林友 廿周年記念號(第百四十四號) [翻刻・ルビ・注記] 

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          脇 田 山 の 人(注13)
蘇峡(そきょう:木曽谷)20年の歳月は実に急速の進歩をなす数百の健児を産み、邦国の内外各地に送り勇飛せしむ。偉大なるかなの成長―当初向城(むかいじょう:福島町内の地名)の中央に赤色の方形不完全な古建築(注14)より出でて、新開の地に廓大(かくだい:ひらけていて大きい)せる長?(ちょうく)を以て今日に及ぶ雄々しさよ。汝の教養せる壮者は不屈不撓(ふくつふとう:志をまげない、くじけない)の為めに校風を保持し益々光輝ある生涯に移りつゝあるにあらずや。校門を出でし健児は荒れたる野山を地上に於ける楽園とせん。美化の目的の為に木植うる業に暁星より起床し、岩清水に心より潔(きよ)く小鳥の啼鳴(ていめい)を聞きつゝ百花爛縵(らんまん)春光を迎へて夕陽山家に休養をなす。王候の生活よりも深遠にして意気ある生涯と謂ふべし。
炎熱の季に雑草を征服して整然たる幼樹の旺盛なる発育を計る時、渠等(かれら)の権威は智者の啓蒙を味ふより超越して偉大なり。
行事秋を迎へて冬に亘りて鬱蒼(うっそう)森林の利用啓発や林野将来の計画に際し、紅葉を焼きて山川深く虎狼(ころう:とらと、おおかみ)の吼声(こうせい:ほえる声)を聞きつゝ落葉を踏みて千仭(せんじん:非常に高く深いこと)の間に身心を練磨する同人(どうじん:なかま)は幸なる可(べし)。素懐(そかい:前々からのおもい)を技歴すれば母校の隆盛を期するには曰(いわ)く、世の手腕なき弱者となる勿れ、頑強にして実力ある口も八丁、手も八丁以て天下山林国の覇者たらんことを祝意と倶(とも)に期待するものなり。