NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

7.教育、人物・伝記

■木曾山林学校々友會報 第一號 [翻刻・ルビ・注記] 

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          通常会員  坪 倉 藤 三 郎(注16)
吾が山林校友会の機関雜誌は今月今日を以て本校内に生れたのであります。私等は実に此(この)好い機運に際会するの幸福を得ましたので欣喜雀躍(きんきじゃくやく:雀がおどるように、こおどりして喜ぶこと)に堪へません。依(より)て聊(いささ)か祝辞と希望とを述べようと思ひます。
抑(そもそ)も本会は昨年の7月に在学生諸君と共に尽力して創めて設けられ、其後3、4回通常会を開て会員相互の親密を図りて林業上智識の交換といふ事を謀(はか)りました。けれども本会も凡(す)べて事物に盛衰ありといふ原則に支配せられて、種々なる原因の為めに校友会なるものは有るか無いか分からぬ様な姿で
 
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一寸(ちょっと)中止となりました。処(ところ)が、本年4月即ち学年試験後に至つて、校長始め先生方より時々(ときどき)校友会は如何(いか)に、所謂(いわゆる)有名無実に終るではないか、と問はれても何とも答へる事が出来ない様な訳で、誠に遺憾千万でありました。然(しか)るを本年5月吾々協議の上、本校校長を会長に推戴しまして、校友会を復興し且つ組織を改正して、今日第1回の会報を発刊することになりました。吾が輩は一同両手を挙げて校友会の万歳を祝する次第であります。而して20世紀に於ける文明の余沢(よたく:先人の恩恵、おかげ)は寒村辟地に及び、都鄙(とひ:まちといなか)おしなべて文明を口に唱へ新聞雑誌の発刊を見る様になり、爰(ここ)に於てか諸般の事業が勃興し多くの会の如(ごと)きものも続々起りますけれども、能く其当初の目的を達し利益を社会に顕はすと云ふ事になつては、其内10中の1、2に過ぎない様な訳であるから、吾々会員たるものは前車の覆へるを見て深く注意せんければならぬ。それであるから本会の目的を永遠に達せしむるには如何(いかに)せば可なるかと言ふに、先づ一致団結といふ事が大切である。又吾々は此の団結を鞏固(きょうこ)にして永続せしめんければならない。本会の起るも又所以(ゆえん:理由、わけ)のあることである。夫(そ)れであるからして吾輩は此団結の下に集まつて林業上に於ける知識の交換をなし、又会員相互の動静を知る機関たる本誌に依(よ)つて互に気脈を通じたいのである。而して吾輩が斯の道を研究し且つ経験を積んだ上は、社会の灯明台となり国家の羅針盤となつて益々(ますます)社会国家を利する事を謀らねばならぬ。此機関たる本誌が将来永遠に発達するや否やは、実に会員諸君の熱心と不熱心とに依るものでありますから、会員諸君の熱誠を以て本会の為めに力を尽すことにしたいのである。本日此盛なる開会を見るに至つたのも本校教官諸氏の尽力によつたのであるから、吾輩は深く鳴謝(めいしゃ:心からお礼をいう)して止まない次第であります。茲(ここ)に聊か一言を述べて祝意を表します。