NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

7.教育、人物・伝記

■木曾山林学校要覧 [翻刻・ルビ・注記] 

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1、当校在学期間の生徒の年齢より見る時は、身体及精神の発達上最も重要なると同時に又最も危険なる時期にして、教育上最も注意を要する時期なれば、学校と家庭とは両々相俟(ま)ちて同心協力以て究竟(きゅうきょう:究極)の目的を達すべきなり。而して当校生徒は遠隔の地より来る者多く、従て父兄は屡々(しばしば)登校して生徒の起居動作を見、学校教育の実際を察する機会に乏しきを以て、勢(いきおい)、書信に依りて相互の意志を交換し指導の実績を収むるの外道なし。故に父兄諸氏は校則並に内規に示す所は充
 
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分厳守し、相互通信によりて当校の主旨に副(そ)はれん事を望む。
2、自宅通学以外の者は絶対に寄宿舎に収容し、仮令(たとい)病気と雖も登校し得らるゝ限は外泊を許可せざる方針なることを予(あらかじ)め承知せられよ。
3、生徒の監督に関しては寄宿舎に3名の舎監あり、各級に学級主任あり、更に担任教師あり。各担任教師は生徒十数名宛を分担し、主として学資の保管取締及操行取調、其他一般訓練上に注意し、父兄に代りて機微の点まで立入りて監督の任に当る。而して舎監・学級主任及各担任教師は互に相協力して指導を完からしめ、同時に家庭との連絡を保つに勉めつゝあれば、生徒一身上並に家庭の事情等に関しては、出来得る限り担任教師等と協議せられんことを切望す。
4、欠席は学業の進歩に著しき障害を与ふるのみならず、又種々の弊害を醸し訓練上憂ふべき事項なれば、学則23条第5項に於て特に出欠常ならざる者に退学を命ずべき事を規定せり。父兄は充分の注意を以て病気忌引等万已(や)むを得ざるものゝ外欠席せしめざらんことを望む。特に学期の始に於て欠席し、又は学期末に於て早々帰郷するものあり。此等は望郷の至情に出で同情に値するもの無きにあらずと雖(いえども)、抑々(そもそも)其本分を忘却せるものと云ふべし。冀(こいねがわ)くは父兄諸氏、学校は職場と同じく1日の猶予逡巡(しゅんじゅん:ためらうこと)を許さゞることを銘記せられ、子弟をして其本分を誤ること勿(なか)ら
 
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しめんことを。
5、学資金は総て委托(いたく:あずける、委託)すべきものにして、各担任教師分担して之を保管し、生徒の請求ある毎に其使途を訊(じん:たずねる)して之を払渡し、金銭出納は保管通帳にて整理す。父兄は生徒帰省の際、該(その)通帳を検査し検印せらるべし。学資は凡て振替口座7600番木曾山林学校長江畑猷之允宛送金せらるべし。
振替貯金は送金最も安全に為替其他の手数料を軽減し無料通信の便あり。若し振替手続に依る能はざるものは、為替を以て学校長宛或は各担任教師宛送金するも可なり。元来生徒が金銭を所持するの弊は輙(ちょう:たやすく)もすれば浪費となり、従て当然納付すべき金員の延滞を来すことあるを以て、直接生徒宛送金せられざる様厳守ありたし。若し直接生徒宛送金するも生徒各自が郵便局其他に就き支払を請求するには、一々学校の承認を経ざれば払渡さゞる規定なれば、学資の送金は断じて前記規定に依られんことを望む。又毎月の学資金は勿論、修学旅行費等も学校指定の金高を準拠とし過当の送金をなさざることを切望す。
6、以上尚尽さゞる所あるも、要は本校々則並に細則は勿論其他一般事項に就き、生徒をして服膺(ふくよう:よく守ること)実行せしむるに勉め、家庭と学校と協同一致して危険時代の生徒の訓練を完うせんとするに外ならず。冀(こいねがわ)くば当校微意の存する所を諒せられんことを。
 
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