NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

7.教育、人物・伝記

■木曾山林学校要覧 [翻刻・ルビ・注記] 

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出身地  本校創立以来卒業生を出せし事8回、其総数230名、之が出身地別大要を述ぶれば、県下に有りては西筑摩を最高とし更級(さらしな)、上水内(かみみのち)、下伊那等之に次ぎ、2市16郡即ち全郡各々卒業生を出し、又他府県にありては14県に跨(またが)り、最高を石川県の17名とし、岐阜、山梨、熊本、鳥取等之に次ぐ。
就業状態  次に卒業生は各自の性能に適応せる職業に従事し、四方に散在せる状况は1府31県、外に朝鮮、北海道、外国等殆んど全国に拡(ひろが)れり。其方向は官公署に奉職するもの最も多く、家業に従事するもの比較的少なし。即ち、
  官公署及大資本家に奉職せる者   154人
  尚修業中並に兵役其他の者      20人
  家業に従事する者          41人
  死亡者               15人
にして、待遇は学業・成蹟・入学前の履歴・或は年齢により差等あるも、卒業当時は平均14円にして往々25円の高給を以て招聘(しょうへい:礼をつくしてまねくこと)せらるゝ事少なしとせず。而して第一回即ち37年卒業生にして
 
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比較的成蹟佳良なるものは、目下35円前後の給与を受けつゝあり。
説(せつ:意見・主張)をなす者あり。実業学校は法令の定むる所により、実業に従事せんとするものに須要なる教育をなすの門にして、俸給に衣食する官公吏を教養すべきの門にあらず、且卒業生の他府県に散在せるが如き、県費支弁の性質を滅却したるの甚だしき者なりと。
由来実業学校令第1条は広狭二様の意義あるは文部当局の認むる所にして、狭義に於ける実業教育主義とは、其地方実業界直接の必要上より生じたる者にして、教養(きょうよう:教え育てる)の主義も当然実業界の希望を満足せしむる者ならざるべからず。故に其の卒業生は去て直に祖父の遺業に承継するか、然らざるも永く其地方に有りて学び得たる所を以て郷党に重きをなす紳士たらざるべからず。広義に於ける教養の主義とは、父兄の職業の如何を論ぜず、一般子弟に対し各自の性能に適当せる実業上の知識技能を付与して、之によりて生存競争場裏に最後の勝利者たらしむる準備をなさしむるにあり。故に其卒業生の郷土に留まりて既修の学芸に関係ある業務に従事すると否とは問はず。要は本人の利達(りたつ:立身出世すること)にあり。
翻而(ひるがえって)、8割5分の大森林面積を有し、而して信濃、天竜、木曽の3大河の源泉をなし、森林治水上県内のみならず累を隣県に及ぼす頻繁なる長野県下に於て、各郡に林業枝手を聘(へい:まねく、もとめる)せるもの僅に3分の2、
 
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爾余(じよ:そのほか)の郡或は町村に同種の枝術者を有するもの殆んど皆無の状況にして、之を他府県に於ける較々大なる公有林を有する町村の多くが、高額の資を惜まずして森林技術者を聘しつゝある現況に徴し雲壌(うんじょう:天地)の差あり。幸に叙上(じょじょう:上にのべた)11郡中3郡の林業枝手は本校卒業生之に当り、尚県林務行政にある者4人、乙種学校或は小学校教職に従事して、傍ら学林及公有林の保護経営に当る者又多し。更に県内に存する国有林・御料林の森林行政事務に鞅掌せる者頗る多ければ、積むに歳月を以てせば県林政に直接間接裨益(ひえき:有益であること)尠(すく)なからざるべし。且つ卒業後一旦官庁に奉職して、先輩指導激励の本に数年間を費し更に多くの知識と技能とを得たる後、必要に応じて郷党に帰りて町村自治体の要路に当るは最善の措置たるを固く信ずる者なり。
1 出身地及人数  卒業生出身地別人数及他府県人百分率を示せば左表の如し
(注 「卒業生出身地別人数及他府県人百分率」の表は原本ビューワ51コマを参照)
 
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2 年齢  是等卒業生の各卒業の際に於ける最大最小及平均年齢を示せば左の如し
(注 「卒業生の最大、最小、平均年齢」の表は原本ビューワ52コマを参照)
3 戸主及長男  卒業生にして戸主及長男たるもの及其百分率を示せば左の如し
(注 「卒業生のうち戸主、長男の数」の表は原本ビューワ52コマを参照)
 
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4 入学前の履歴  卒業生入学前履歴、及単に高等小学校卒業せる者百分率を示せば次の如し
(注 「卒業生の入学前履歴」の表は原本ビューワ52コマを参照)
5 就業状態及待遇  卒業生就業状態及待遇を上ぐれば次の如し
(注 「卒業生就業状態及待遇」の表は原本ビューワ52コマを参照)
 
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6 各府県に散在の状態  本校卒業生は殆(ほと)んど各府県に散在するのみならず、遠く朝鮮及外国に於て活動しつゝあり。今死亡者15名を除きたるに215名の散在状態を表示すれば左の如し
(注 「卒業生の各府県別散在状態」の表は原本ビューワ53コマを参照)