NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

7.教育、人物・伝記

■木曾山林学校要覧 [翻刻・ルビ・注記] 

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世人の林業及林学に関する感想は、今尚比較的浅薄にして既に高等教育ある人士にして林学を以て単に樹木の植栽のみに関する学科なりとの念を懐く者多し。茲(ここ)に各学科教授の要目を掲げて斯学(しがく:その方面の学問)に志さんとする士に便せんと欲するも、煩に過ぐるを以て普通学科を除き実業学科のみに就き教授の綱目を起述せん。
法規  森林法。河川法。砂防法。其他職務執行上必要なる法規の要領。
森林保護学  寒気の害。炎熱の害。雨雪の害。風害。過湿の害。樹木の疾病。雑草の害。寄生植物の害。菌害。野獣の害。鳥類の害。昆虫の害。及人為の害。等に対する予防法並に除害法
森林動物  哺乳類。鳥類・爬虫類。節足類。両棲類。魚類。等
林学通論  森林分布及面積。森林直接並に間接の効用。経済学上林業の性質。木材の需給。市町村林。我国現時の林政等
森林数学  伐採せる木材の枝条根株の材積測定法。層積測定法。立木の高さ測定法。立木の
 
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幹及枝条の材積測定法。森林の蓄積測定法。材木の年齢及成長量査定法。複利算の公式。価格評定法の種類。林地及林木の価格評定の原理及方法。営業利益。利率。
森林経理学 森林の保続。生長。蓄積。輪伐期。森林区画。森林調査。施業法の決定。収額予算法。施業案の編成。検定。施業案編成規程。
造林学  材木及森林の種類名称。林木の生活及成長の原理。森林植物帯。造林上土地気候等に対する関係。林木発育の関係。樹種の性質に対する関係。造林法の種類及得失。造林事業実行上の順序。天然更新法。人工更新法。挿木。分根。分蘖(ぶんげつ)(注9‐1)。接木造林法。幼林除伐の方法。間伐及枝打の方法。下木植付及受光伐。森林作業法の種類及得失。森林作業法を変更する法。造林法。各論。
森林利用学  木材の性質。伐木。造材。転材。販売。製材。乾燥法防腐法。木材の運搬。木材の利用。
林産製造  木材乾留法。製炭法。木酢液採集法。食用菌蕈(きんじん:きのこ)栽培法。樟脳。龍脳(りゅうのう)(注9‐2)。松精油(しょうせいゆ:テレピン油)。単寧(タンニン)植物油の製造法。
森林測量  測鎖測量法。平板測量法。羅針盤測量法。経緯儀測量法。スタジヤ測量法。Y水
 
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準器測量法。
森林土木  砂防工。山地砂防法。飛砂地砂防法。森林道路路線選定。縦横断面測量土積計算法。土積平均法。土工及排水法。護岸工事。簡単なる木橋。
農学  作物。園芸。畜産。養蚕。農業経済。農業通論。
製図  幾何画法。測量及諸般製図。採色図殊に森林図。製図用字体。
森林行政  官吏服務規律。司法警察執務心得。文書の受付。起案回議。極印使用規則。事業予定案編成。各種報告書作成記載浄書。
尚、教授上留意し、課外講義を課せる事項は、
 1.森林内教授を可成(なるべく)多からしめ、且林木高・本数・材積・道路の勾配、巨禽(きょきん:大きな)林野の面積・高低等を目測の練習に勉むる事
 2.表薄の使用に習熟せしめ、時間と手数を省略せしむるに勉む、即ち森林家必携・測量家必携・対数表・重利算表・収獲表・内外度量衝比較表等の使用
 3.苗圃の設計、林地の地拵(ぢごしらえ)、造林其他一切の準備並に計画、簡易施業案の編成等諸般の立案設計の練習
 
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 4.珠算及心算を課して、実用上の効力を大ならしむると共に脳力を敏活ならしむること
 5.作文、特に書簡文、官公文書、願届書等の文体を授け、此に付帯して細字を習熟せしむること
 6 実践教授