NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

6.行政、政治等の記録

■伊那県布令書 [翻刻] 

 明治元年戊辰十月      画像1
  伊那県布令書
 
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    村々名主組頭百姓代へ
    申渡旨趣
 何事によらず古きに馴れ仕来になづむは
 人情の常ニ候へども、今般
 王政御一新之折柄、舊弊を渾て御除き被
 遊候半でハ 御新政被施候詮も無之候
 ニ付、追々御改正ニ可相成事可有之候へ共
 詰りハ無用之費を省き疾苦を厭ひ庶民共
 
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 安心に産業出来候様被
 思食候間、心付候儀も有之候ハハ、忌憚る事
 なく可申出事
    但し申出かね候事件ハ書認め目安箱
    へ差入可申事
一 第一御定之制札三枚之面は勿論、其餘
  御布告之条々件々能々拝見いたし、弁へな
  き者にハ名主より念入分り易く読聞セ置、
 
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  一ケ条たりともゆるかせに心得申間敷事
一 御制札之面にも有之候通、年よりて妻なく、
  年よりて夫なくいとけなくして親なき者、
  老て子なきもの、かたわものハ申ニ及ばす
  火水盗賊疾病等之災難に逢ひ渡世りの産
  業を失ひ全く正直にして難渋之者あらバ
  速に申出べし、勿論名主親類始め身元よろ
  しきものは精々申合セ、救助の道をつくすべ
 
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  き事
    但し組内之者必至困窮ニ迫り、筋なら
    ぬ死をとげ、或ハこつじきに落ち、又は
    悪心を生じ盗賊ニ陥り候もの出来候
    は、其処之名主はじめ畢竟平生世話筋
    不行届ニ当たり、上ニおいても深く痛
    ましく憐むべき限りに被
    思召候へば、よりより御世話も可有之
 
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    間
    御政体を篤と相弁へ名主始め精々世
    話筋行届候様可心掛事
一 農業精出し荒地等出来不致様可心掛候、尤
  名主始重立候者ニおいても常々見聞いた
  し、精々心を用ひ世話可致事
    但 新田開発を始 御国益筋之義存
    付候ハゝ申出、吟味を受可申事
 
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一 御年貢始め諸役悉皆大切ニ可相勤事
一 凶年飢歳之備常々厚心掛、厳敷倹約を守り、
  穀類ハ申ニ及ばす食料ニなるべき野菜等
  貯おくべき事
一 五人組之儀、町ハ家並、在郷ハ最寄次第五軒
  宛可組合、其内数多少出来之處ハ七八軒、
  又者四軒迄ニ組合すべし、家並つどひ候所
  は隣り合せ向ひ三軒割を以て組合を一
 
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  組内一人宛頭を立べき事
一 五人組者親類同様むつましく相交り、吉凶
  相助け、疾病相憐ミ、盗賊水火之難其外非常
  等有之ときは、互に相救ふべき事
    但 組内常々善をすゝめ、悪をいましむ
    べきハ勿論なり、若善行奇特之もの并
    孝子貞女義僕等都而心掛宜敷もの、又
    者行状あしく村内之害ニなる者あら
 
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    者、早速五人組頭へ申出、五人組頭より名主へ
    申出、名主より当役所へ訴出べし、万
    一名主共私意など構へ、如何之取計ひ
    有之趣追而顕るゝにおいて者、其者ハ
    申ニ及バす、事ニより五人組并役前之
    越度たるべし、其餘喧嘩口論を始め何
    によらず変事有之節ハ、是又五人頭へ
    届出、五人頭取捌きがたき時ハ名主へ
 
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    申出、共々相かたらひ取鎮むべし、自然
    取扱ひ兼候時者、当役所へ可申出事
一 町在郷ニ於て欠落ものを始め、諸浪人并独
  身にて怪敷ものに一夜之宿も貸し申間敷、
  且親類縁者又ハ所出生の者ニ候共、数年他
  所に罷在立帰り候ハゝ、其段役前へ書付可
  取置事
一 毎年人別改之儀念入取調可申事
 
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    但 他所ヘ出稼等に出居候ものハ、其由
    其者名前の上に朱書にて何地に罷在 
    候子細相記し可申、且縁組其外人数出
    入有之節ハ、互ニ人別送證文正しく取
    引可致事
一 田畑山林売買堅く停止之事
    但 百姓持来候田畑譲引、猥がましき儀
    致べからざる事
 
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一 博奕始め賭之諸勝負等厳しく禁止之事
一 旅人病人手負其外道路に倒れ居候者有之
  候ハゞ、生所等聞糺し可遂介抱、若相果候ハ
  ゞ其者之年齢始め委敷取調べ可申出事
一 人を売買いたす事一切停止之事
一 用水之義大切に相心得、理不盡ニ水引入候
  儀致まじき事
一 拾ひ物落しもの等いたし候ハゞ、其旨其時
 
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  ゝ可訴出事
一 助郷村々は宿方問屋より人馬触当候ハゞ
  無遅滞刻限通り急度可相勤事
一 諸願訴詔事難渋之筋あらバ、其所之名主篤
  と聞糺し奥印せしめ、早速可申出候、萬一故
  障筋いたし名主之許に留置、不正の取計ひ
  等於有之ハ曲事たるべき事
    但し名主を相手取候儀ハ、五人頭又ハ
 
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    親類取次奥印せしめ可申出、其内名主
    親類五人頭等へかゝり差支候ハゞ、其
    訳認めあらはし何村誰と名をしるし
    て目安箱へ可入置事
一 願伺届等月々一六之日並相休ミ、日々四ツ時
  より八ツ時迄ニ可差出、其内至急之儀ハ此限
  に拘るべからさる事
一 呼出之儀、里数之遠近をはかり難儀ならざ
 
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  る様可申遣候間、差刻限をたがえざる様参
  着いたし、其段可相届事
 
    明治元年戊辰十月
 
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       (印)