NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

5.繁盛記、社史、産業の記録

■諏訪蠶絲業紀要<昭和5年> [ルビ注記] 

   諏訪蚕糸業紀要      画像2
一、本編ハ昭和四年以前ニ於ケル蚕糸業ニ関スル調査統計類ノ
 一班ニシテ参考ニ資スルモノナリ
一、本書中材料ノ都合ニ依リ最近ノ事実ヲ掲載セルモノハ特ニ
 明示シ置ケリ
   昭和五年十二月
           諏訪製糸研究會事務所
 
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目   次
諏訪系製糸工場分布図
長野県略図
岡谷製糸工塲の遠望
製糸業の沿革                     ( 一)
諏訪製糸研究会                    ( 三)
長野県器械生糸産額                  ( 六)
長野県人経営器械製糸工場数及釜数           ( 七)
諏訪郡器械製糸略年表                 ( 八)
川岸、平野、湊三ヶ紂製糸工塲数及釜数並ニ職工数    ( 九)
諏訪人経営器械製糸総釜数五月一日現在累年比較     (一〇)
信州系器械生糸横浜入荷高調              (一一)
生糸百斤生産費累年調                 (一二)
長野県繭産額                     (一三)
長野県蚕品種指定の由来                (一四)
指定蚕品種                      (一五)
繭販売状況調                     (一七)
乾繭機と煮繭機                    (一七)
長野県内調器械製糸工女年齢別             (一八)
 
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長野県内職工勤続年数調                (一九)
機械製糸工女出身地方別調               (二〇)
勤続表彰者数                     (二一)
生糸百斤生産費調                   (二三)
諏訪郡一千釜以上の製糸工場              (二七)
諏訪製糸研究会工場表                 (三〇)
職工団体乗車人員調査表                (三一)
岡谷駅重要貨物発着噸数調査表             (三三)
人工孵化蚕種趨勢                   (三五)
普通蚕種製造額者数比較                (三五)
諏訪郡原蚕種製造額調                 (三六)
普通蚕種越不越年別産額                (三六)
普通蚕種検査成績                   (三七)
普通養蚕                       (三八)
繭取引別数量                     (四〇)
諏訪郡蚕糸業者別数                  (四〇)
岡谷、川岸、下諏訪駅生糸発送高調           (四一)
 
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一、製糸業の沿革
 近時隆々トシテ発展シ駸々(しんしん)トシテ長足ノ進歩ヲナセル我諏訪郡ノ製糸業ハ如何ナル動機ニヨレ
ルカ将タ如何ナル素因ノ存スルアルカ其由ツテ来タル経路ヲ尋ヌルニ寛政ノ初年「ノボセ」卜称
シテ(手引糸ヲ製シ上方ヘ販売スルヲ以テ「ノボセ」ノ称アリ)始メテ手引提糸ヲ製シ之レヲ西京西陣及濃州岐阜ニ販出セシヲ以
テ嚆矢(こうし)トス降テ安政六年九月ニ至リ平野村林善左衛門ナル者始テ横浜へ輸出シ海外ノ販路ヲ開キ
タリ其糸ハ鉄砲造ニテ百斤ニ付「ドル」幾個「天保」幾個卜云フ売却方ナリシト云フ如斯始テ海
外ノ販路ヲ得タルヨリ同村林源次郎、清水久左衛門等上州伊勢崎ヨリ座繰器械ヲ持来リ大ニ行ハ
レタリ明治六年東京ノ豪商小野善助ナル者見ル処アリテ上諏訪村深山田(地藏寺附近)ニ百人繰ノ製糸
器械ヲ建設シ伊国ノ製法ヲ模倣シ生糸ヲ製造セリ是ヲ本郡器械製糸ノ創始トス尋テ郡内各所ニ器
械製糸ノ業ヲ開始スル者漸次増加シ同八年平野村武井代次郎等一社ヲ団結シ中山社(後平野社ト称シ明治廿九年
又進工社ト改称ス)ト称シ上州富岡ノ工場ヲ模シテ製糸器械ヲ設置ス同九年下諏訪村ニ白鶴社上諏訪村ニ鵞
湖社同十年宮川村ニ山本社(後公信社ト称ス)平野村ニ開明社(川岸村片倉兼太郎 平野村尾沢金左衛門 林倉太郎等)皇運社(今ノ矢島社)等
興リ翌十一年白鶴社々員増沢市郎兵衛三井仁兵衛等相謀リ旧勧農局ニ請フテ技術員中野健次郎外
 
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工女二名ヲ傭聘(ようへい)シ以テ製品ノ改良ヲ図レリ又開明社社員片倉兼太郎、尾沢金左衛門等ニヨリテ改
良陶器鍋(旧来使用ノ鍋ハ管ヲ
銅ニテ製造セシヲ改良鍋ハ管ヲ廃シ陶器ノミニテ製造セリ)ノ効用発見セラレ之レニヨリテ製糸ヲシテ天然ノ
美質ヲ損セシメズ純良光沢アル佳品ヲ製造スル事ヲ得タルノミナラズ著シク糸量ヲ増加スルヲ以
テ各当業者挙テ之レヲ使用シ延テ全国ニ普及スルニ至レリ明治十四年繰糸揚返シノ必要ヲ感ジ白
鶴社ニ於テ再ビ技術員中野健次郎ヲ聘シ揚返シ塲ヲ設ケ精密ノ審査ヲ為シ製糸精粗(せいそ)ヲ均一ナラシ
メシヨリ各社亦之レニ傚ヒ努メテ品位ノ改良ヲ図リ勢価頓ニ騰リ需用益々増加シテ今日アルノ基
礎ヲ致セリ
 当時ノ繰糸釜数ハ一千三百六十余ニシテ生糸産額六千六百余貫ヲ算シ仏国向七分米国向三分ヲ
製出シタルモ明治十六年頃ヨリ過半米国向ニ変シタリ
 明治三十五年重要物産同業組合法ニ依リ諏訪郡一円ヲ区域トシ諏訪生糸同業組合ヲ組織シ片倉
兼太郎ガ組合長タリ其後同人功成リ名遂ゲテ引退スルヤ尾沢琢郎其後ヲ襲フテ組合長トナリ更ニ
二代目片倉兼太郎組合長トナリ今日ニ至ル而シテ釜数及生糸産額等別表ニ示スガ如キ盛況ヲ呈ス
ルニ至レリ
 
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一、諏訪製糸研究会
 諏訪郡の製糸業は明治十五年に総釜数千三百にして十年後の明治二十五年には八千四百二十釜
となり明治三十五年には一万四千釜に達せり以て本郡に於ける製糸業の逐年進歩発逹の状態を窺
知するに足らん然り而して此時代に於ける我郡は交通極めて不便にして北信地方及関東地方より
原料輸入は皆和田嶺の嶮を越し安筑及濃飛地方より輸入は、塩尻峠を越すに非らざれば得る事能
はず、又上下伊那地方よりは天龍川の谿(たに)に沿ひて人馬の脊を賴むより外途なく為めに僅々十里(三七.五キロメートル)内
外の近距離も尚二日以上を費して意を満たす事能はざりき。
 特に工業主の最も苦痛と困難を感するは職工募集の事にして、釜数が増加と職工の増員とは到
底同率に進み難く、加之釜数に對し職工数は三割以上多く募集するに非ざれば諸種の故障の為め
常に空釜を見るに至るべく、而して毎年十二月より翌年一、二月の間に募集完了せざるべからざ
るを以て此期に於ける各製糸工場の募集従事者は何れも権謀術数を弄(ろう)し互に先を争ひ契約を競ふ
の結果被雇者及び契約者の乘ずる所となり、二重若くは三重契約を敢てして契約金又は前貸金を
詐取するもの多きに至り、愈々引揚に際して甲乙両工場若くは数工場の間に問題を惹起し、募集
 
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従事者間に争闘を生じ職工の争奪頗る劇甚を極むるに至れり。茲に於て明治三十五年十二月平
野、川岸、湊三ヶ村の同業者三十一名協議の上同盟組合を組織し同盟者問に於ける職工争奪の弊
を一掃し互に徳義を重んじ協力一致して斯業の発達隆盛を期するため規約を締結し事務所を設け
事務員を置き職工の登録、職工募集許可出願の手続、職工の団体乗車事務其他の諸務を取扱ふ事
とせり。然るに本同盟の職工登録制度は時代に不合理なりと偶々(たまたま)本県工場課の慫慂(しょうよう:さそいすすめる)により遂ひに
此の制度は廃止の己むなきに至り大正十五年二月二十八日限り之を斷行し尚同年五月十二日を以
て従来の製糸同盟は諏訪製糸研究会と改称し昭和二年四月十一日大日本蚕糸会団体表彰規程に依
り本会が蚕糸業の改良発展に努め団体員相互の利益を増進したるに依り表彰せられ今日に至る。
 組織当時の加入者総釜数は僅かに五千釜に過ぎざりしが、爾来次第に其数を増加し、明治三十
八年には郡内八千釜を超へ郡県外を合せて一万二千五百釜となり、以後年々歳々発展増加の盛運
を来し、大正十年に至りては加入者百二十四名郡内の製糸釜数三万四千従業せる職工は男女合せ
て五万人に上り、生糸の産額は九十万貫其の価格は約一億円に達す。此外加入者の部外に有する
釜数三万五千余釜なり。尋(つい)て大正十三年は一府二十六県及朝鮮に亘り七万六千釜を有し、其生糸
の産額は二百五十万貰余、其価格は約三億一千二百五十万円を算す。又大正十四年の半より同十
 
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五年に至りては郡内釜数三万二千余釜、郡外四万五千余釜を有し、工業主は常に糸質の改良は勿
論繰糸の方法の改善に意を注ぎ従来の四条繰りは漸次減少し、五条繰り六条繰りとなり生産額も
次第に多く県内外の生糸産額は今や二百七十八貫余り此の価格三億三千三百六十余万円を算す。
而して其原料繭は之を全国各地及遠く支那朝鮮に仰ぎ我加入者工場に於て製出する生糸の産額は
実に本邦輸出額の三分の一強を占むるの盛況にて、尚益々発展の状勢を呈せり。
近年本邦の生糸が海外に名声を博すると共に此地の製糸業は愈々隆盛の域に進み信州の名は遂
に日本生糸の産地として世界に知らるゝに至れり。
 
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一、長野県器械製糸産額(前年六月ヨリ其年五月迄)長野県調査
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、長野県人経営器械製糸工場数及釜数(前年六月ヨリ其年五月迄)長野県調査
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、諏訪郡器械製糸略年表
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、川岸、平野、湊、三ヶ村製糸工場数及釜数並ニ職工数(前年六月ヨリ其年五月迄)長野県調査
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、諏訪人経営器械製糸総釜数五月一日現在累年比較 第十九銀行調査
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、信州器械製糸横浜入荷高調(一梱ハ九貫目(三三.七五キログラム))(前年一月ヨリ其年十二月迄) 日本銀行調査
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、生糸百斤生産費累年調(本調査表ハ其ノ年六月ヨリ翌年五月迄ヲ其ノ年分トシテ記シタルモノ也)  長野県調査
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、長野県繭産額 長野県調査
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、長野県蚕品種指定の由来
                          長野県蚕業試験場
 大正二、三年の頃抬頭した蚕の一代雑種は非常の勢を以て蚕業界に歓迎せられたので蚕種家は競
ふて交雑蚕種を製造し小県郡内のみでも大正八年には其の品種数が二千九百余に逹したのである。
而して蚕の品種数が多ければ多き程、蚕種家は製造上の手数が多く、養蚕家は蚕品種の選択に迷ひ
製糸家は繭の雑駁(ざっぱく)に苦しめらるゝのである。
 因て蚕種同業組合、生糸同業組合、養蚕組合の各連合会は大正十年九月県会議事堂に於て総会を
開き蚕品種の整理方法に就て協議を遂げ春蚕種は国蚕日一号×同支四号、中巣×国蚕支四号、世界
一×大諸桂、国蚕支七号×同欧七号、国蚕日一〇五号×同欧九号の五品種、夏秋蚕種は国蚕日一〇
七号×同支四号、青熟×国蚕支四号正白×国産支四号、国産日一〇七号×(国蚕支九号同支一〇一号)と日支二
化二化雑種一品種との五品種に整理し、之を大正十三年から実行すべく決議されたのである。
 県は其の決議を適当と認め蚕品種の整理事業を助成する為めに蚕品種指定に関する規程を定め三
業者の選定品種を県の指定蚕品種として大正十一年には県下各町村に指定蚕品種に関する講話会を
開かしめ之が徹底を図ると共に長野市に蚕業試験場を特設し指定蚕品種に関する試験と優良品種の
 
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選出とに当らしむる事にしたのである。
 囚に指定蚕品種の普及状態は大正十二年には春蚕八割四分、夏秋蚕七割八分であったが大正十三年には春蚕
 九割六分、夏秋蚕九割七分に達したのである。
 
指定蚕品種
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、繭販売状況調
本県の繭販売状況は概ね左の如し
繭市場個人販売、組合製糸供繭、繭市場共同販売、製糸揚込個人販売
繭市場以外の共同販売、乾繭保管、養蚕家自宅販売
一、乾繭機と煮繭機 (大正十五年調)
イ、乾繭器は年々種類増加し其の数三十有余にして其の内重なるもの左の如し
 今村式、諏訪式、帶川式、三光式、米国式、中原式、多管式、小島式、西ヶ原式等なり
ロ、煮繭器も又年々種類増加し其の数三十有余にして其の内重なるもの左の如し
 長工式、YD式、武井式、大正式、矢島式、渡辺式、真空式、宮崎式、中村式、征矢式等な

 
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一、長野県内機械製糸工女年齢別(昭和三年 昭和四年)七月一日現在
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、長野県内職工勤続年数調(其年七月一日調)
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、機械製糸工女出身地方別調(昭和三年 昭和四年)七月一日現在
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、勤続表彰者数(同一工場ニ十ヶ年以上) 生糸同業組合連合会調
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、生糸百斤生産費調(自其年六月 至翌年五月
   一、営業製糸(長野県内平均)
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二、産業組合製糸(長野県内平均)
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一、諏訪郡千釜以上の製糸工場 (昭和五年五月)
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、諏訪製糸研究会工場表
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一、職工団体乗車人員調査表
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備考 十年度以後春挽引揚ハ製糸開業期日一定セザリシニヨリ各工場自由引揚ヲナシタルヲ以
テ其ノ数ヲ知ルコト能ハズ
 
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一、岡谷駅重要貨物発着噸数調査表 (自毎年四月 至翌年三月)
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、人口孵化蚕種趨勢(諏訪郡内)
【表は原本ビューワ参照】
 
一、普通蚕種製造額者数比較(諏訪郡内)
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、諏訪郡原蚕種製造額調 上諏訪蚕業取締支所調
【表は原本ビューワ参照】
 
一、普通蚕種越年不越年年別産額 (備考右框付 左平付)
【表は原本ビューワ参照】
 
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一、普通蚕種検査成績(諏訪郡内)
【表は原本ビューワ参照】
 
一、普通養蚕(諏訪郡内)
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一、繭取引別数量(諏訪郡内)
【表は原本ビューワ参照】
 
一、諏訪郡蚕糸業者別数
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一、岡谷、川岸、下諏訪各駅生糸発送高調(歴年度梱単位)
【表は原本ビューワ参照】