NPO長野県図書館等協働機構 信州地域史料アーカイブ

2.紀行文・道中記、地誌

■諸国道中商人鑑 [解説] 

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 『中山道道中商人鑑』は『諸国道中商人鑑』シリーズの一冊とみられる。江戸時代後期の文政年間に出版されたこのシリーズには「東海道之部」「奥海道之部」などが企画されている。この冊子の終わりにも「ここから京都までの案内は、出来次第売り出すので、お買い求め御覧ください」と記してある。なお、板橋から追分までは同じ内容で『諸国道中商人鑑 中山道善光寺之部 全』が現存している。こちらの道中は追分で分れ、上田を通り善光寺までの版となっている。
 『道中商人鑑』の名が示す通り、ここにはそれぞれの宿(しゅく)にある旅籠屋(はたごや)や商家が紹介されている。さらに旅人の利便や娯楽を考え、次の宿までの距離やその地の名物、神社や温泉などが載り、絵が描かれている部分もある。
 はじめのページは「諸国道中商人鑑 旨趣」となっている。『善光寺之部』には、その前に「序」が1ページついているが、この「中山道版」にはない。「旨趣」以下は、両版とも同じなので『善光寺之部』も参考にしながら本冊子の成り立ちと文化・文政期の社会や出版事情を見てみる。