石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第六章 經濟交通

第四節 交通

海港中の主要なるものには高札を立つること亦陸に同じく、その法令幕府によりて發布せられしものの内、事の港灣・海上・船舶・荷等に關するものを普く下達せんとの主旨に出づ。
條  々
 一、公儀之般は不申、諸廻船共に遭難風時は助を出し、船不破損樣に成程可情事。
 一、船破損之時、其所ちかき浦之者入情荷物・荷等取揚べし。其場所の荷物之内浮荷物は二十分一・沈荷物十分一、川船は浮荷物三十分一・沈荷物二十分一、取揚者に可之事。
 一、沖にて荷物はぬる時は、着船の湊におゐて其所之代官下代・庄屋出合遂穿鑿、船に相殘荷物・船荷等之分可證文事。附、船頭浦之者と申合荷物盜取之、はねたるよし僞申におゐては、後日に聞といふとも船頭は勿論申合輩悉可死罪事。
 一、湊に永々船を掛置輩あらば、其子細所之者相尋、日和次第早々出船いたさすべし。其上にも令難澁者、何方之船と承屆之、其浦之地頭・代官え急度可申達事。
 一、御城米廻之刻、船具・水主不足之惡船に不之。並日和能節於破損者、船主沖之船頭可曲事。惣而理不盡之儀申懸之、又は私曲於之者可出之。縱雖同類其科をゆるし、御褒美可之。且又あだを不成樣可仰付事。
 一、自然寄船並荷物流來におゐては揚置べし。半年過迄荷主於之者揚置之輩可之。若右之日數過荷主雖出來返。雖然其所之地頭・代官指圖を受べき事。
 一、博奕惣而賭之諸勝負彌堅可停止事。
 右條々可守此旨、若惡事仕におゐては可出之。急度御ほうび可之。科人者罪之輕重にしたがひ可御沙汰者也。
    寛文七年閏二月十八日                  奉      行
〔宮腰町高札寫〕
       ○

 前々より浦々高札相建、公儀之船者不申、諸廻船共猥成儀無之樣に被仰付候處、遭難風候節茂所之もの共の助には不相成、却而破損候樣にいたし懸、荷物を刎させ、或は上乘船頭と申合、不法之儀共有之樣に相聞え不屆に候。御領者御代官、私領者地頭より常々遂吟味、毛頭不埒不仕樣に急度可申付候。若此迄不埒之儀於之者、後日相聞え候共、其者はいふに及ばず所之者迄可重科。其上其所之御代官・地頭迄可越度事。
 一、御城米船近年破損多樣に付、今般諸事相改別而大切可仕旨申渡、船足之儀も深不入樣に、大坂大坂奉行、其外國々之は其所支配之御代官より船足之所に極印を打、船頭・水主之人數不減少樣急度申付令運漕筈に候。依之湊に寄候船之分は、船頭・水主人數並船足極印之通無相違哉、送状に引合急度相改帳面記置、上乘船頭印形致させ、右書物其所に留置、御領者御代官、私領は地頭え差出之、御代官並地頭より御勘定奉行迄可指出候。且又極印より船足深く入候船有之候ば、積候俵數委細に改之、御城米之外船頭私に運賃を取他に米穀或は商賣之荷物等積入候歟、又は水主人數定之内令減少候ば、私に積入候荷物者其所に取揚置、水主人數不足之分は其所にて慥成水主を雇せ爲出船、其上に而右之譯早速御勘定奉行え可之事。
 一、破船有之節、浦々のもの出會荷物・船具等取揚候刻、盜取候歟又者不屈之仕方於之者、船頭より不隱置有躰に早速可之事。
 右之條々急度可相守。若違犯之輩於之者詮議之上可罪科。不吟味之子細も候はゞ、其所支配之御代官又は地頭迄可越度者也。
    辰 八 月(正徳二年)
〔宮腰町高札寫〕
       ○
條  々
 一、浦々におゐてを借り候て、異國之ぬけ荷を買取候もの有之由相聞え候。自今以後は、たとひ初より其事之子細をしらずして借し候共、其船之船頭・水主はぬけ荷買取候者と同罪に行はるべく候。然上者、諸國浦々の船頭・水主つね〲申合せおき候て、若ぬけ荷買候者に船を借し合せ候者からめ取候て、長崎奉行所又は其所之御代官所・地頭えなりとも程近き所へ申出べし。若又船中にてはとらへがたき事も候ば何方へなりとも船をつけ候所にて、其所之者に告しらせ、からめとり候て其所に預けおき、是又長崎奉行所又は其所之御代官所・地頭へなりとも申出べし。其船頭・水主には急度御ほうびを下さるべき事。
 一、浦々般頭・水主たとひぬけ荷買取候事を申合せ候とも、或は船中にてなりとも或は船をつけ候所にてなりとも、ぬけ荷買取候者をからめとり候事前にしるし候ごとくに仕候者、初より申合せ候罪科をゆるされ、御ほうびは船借り候時に申合せ候代物之一倍を下し置るべき事。
  附り、其船之事は、主・船頭等相對にて借し候とも、其水主のはたらきにより候て、ぬけ荷買取候者並に申合せ候船頭等からめ取候者、其水主等被下候御ほうびの事、是又借り候時主・船頭等申合候代物の一倍を下さるべき事。
 一、諸浦方におゐて、ぬけ荷買取候者有之由を告知らせ候者有之候者、其所之者共早速に出合候てからめとるべし。若し油斷せしめとりにがし候におゐては、急度其罪科に行はるべき事。
 右條々急度相守るべき者也。
    正徳四年二月 日                    奉      行
〔宮腰町高札寫〕
       ○
條  々
 一、異國より拔荷を買取候金元をいたし、人を雇ひ候て拔荷仕候もの有之由相聞え候間、彼族を訴人仕におゐては、吟味之上、金元仕候者之金・米錢・家財等迄不殘可之事。
 一、拔荷仕ものを同類之内より召捕へ或は訴人仕候ものには、右之荷物御褒美として可之事。
 一、唐人とぬけ買を申合、又は右の言合の取次をいたし、或はぬけ荷物仕なれたるもの、並拔荷物に雇れ、或は其事に携り候者の事訴人仕るにおゐては、急度御ほうび可下。たとひ同類たりといふとも其科をゆるし、賃銀・禮等申合候員數之一倍可之事。
  附、只今迄ぬけ荷仕候者の宿いたし、或はぬけ取候荷物預り隱し置候もの、或は手合仕候ものたりといふとも、訴人仕候者是又其科をゆるし御褒美被下候事右同前たるべき事。
 右之條々、急度可守之。若存ながら隱し置外より令露顯者、其科本人可同前者也。
   正徳四年十一月 日                    奉      行
〔宮腰町高札寫〕