石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第六章 經濟交通

第四節 交通

街道主要の又は渡船場に於いては、庶民の非違を戒むるが爲數種の高札を立つ。これ等の法文は多く幕府より發布したるものにして、自身の制定したるものにあらず。但し左に載せたるものゝ外、天和二年八月幕府が、きりしたん宗門の徒を告發する者に對し賞金を與へんことを記したるものには、別に同一告發者にも亦賞金を賜與する所あるべき旨を記したる高札を添へたり。この二種の高札の文は前編基督教の條に載せたり。
條  々
 一、毒藥並にせ藥種賣買之儀、彌堅制禁之。若於商賣仕者可罪科。たとひ同類たりといふとも訴人に出る輩は、急度御褒美可下事。
 一、にせ金賣買一切停止たるべし。自然持來においては兩替屋にてうちつぶし、其主に可之。並はづしの金・にせ金は金座銀座につかはし可相改事。附、にせ物すべからざる事。
 一、寛永之新錢、金子壹兩に四貫文、勿論壹歩に付壹貫文、御領・私領共に年貢・收納等にも御定之員數たるべき事。
 一、新錢之儀いづれの所にても御免なくして一圓不出之。若違犯之輩有之者可罪科事。附、惡錢・似(ニセ)錢・古錢此外撰べからざる事。
 一、新作の慥ならざる書物商賣いたすべからざる事。
 一、諸色の商賣、或一所に買置しめ賣、或申合高直にいたすべからざる事。
 一、諸職人申合作料手間賃等高直にすべからず。惣て誓約をなし結徒黨儀可曲事事。
 右條々可守此旨、若違犯之族於之者可嚴科者也。仍下知如件。
    天和二年五月 日                     奉      行
〔高札寫〕
       ○

 一、忠孝をはげまし、夫婦・兄弟・諸親類にむつまじく、召仕のものに至るまで憐愍をくはふべし。若不忠不孝の者あらば可重罪事。
 一、萬事おごりいたすべからず。屋作・衣類・飮食等におよぶまで儉約を可相守事。
 一、惡心を以て或いつはり、或無理を申懸、或利欲をかまへて人の害をなすべからず。惣而家業をつとむべき事。
 一、盜賊並惡黨もの有之者訴人に出べし。急度御褒美可下事。附、博奕堅令制禁事。
 一、喧嘩・口論令止之。自然有之時其場え猥に不出向。又手負たるものを隱置べからざる事。
 一、被死罪之族有之刻、被仰付輩之外不馳集事。
 一、人賣買堅命止之。並年季に召仕下人男女ともに十ヶ年を限るべし。其定數を過者可罪科事。附、譜代之家人又は其所に住來輩、他所に相越在付、妻子をも令所持、其上科なきものを不呼返事。
 右條々可守之、若於違犯之輩者可嚴科旨被仰出也。仍下知如件。
    天和二年五月 日                    奉      行
〔高札寫〕
       ○

 人賣買彌堅令止之。召仕之下人男女共に年季十ヶ年を限るといへども、向後年季の限無之譜代に召抱とも可相對次第之間、可其旨者也。仍如件。
    元祿十二年三月 日                   奉      行
〔高札寫〕
       ○

 何事によらずよろしからざる事に百姓大勢申合せ候をとゝう(徒黨)ととなへ、とゝうしてしゐてねがひ事をくはだつるをごうそ(強訴)といひ、あるひは申あはせ村方たちのき候をてうさん(逃散)と申、前々より御法度に候條、右類の儀これあらば、居村他村にかぎらず早々そのすぢの役人に申出べし。御ほうびとして、
 ととうの訴人      百 枚
  ごうその訴人     右 同 斷
  てうさんの訴人    右 同 斷
 右の通下され、その品により帶刀・苗字も御免あるべき間、たとへ一旦同類と成共、發言いたし候ものゝ名まへ申出事におゐては、その件をゆるされ御ほうび下さるべし。右類訴人いたすものもなく村々騷立候節、村内のものを差押へてとゝうにくはゝらせず、一人もさしいださゞる村方これあらば、村役人に而茂百姓に而茂、とりしづめ候ものは御ほうび下され、帶刀・苗字御免、さしつゞきしづめ候ものもしこれあらば、それ〲御ほうび下しおかるべきもの也。
    明和七年四月                      奉      行
〔高札寫〕