石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第六章 經濟交通

第三節 市場

袋町の市場が、後に近江町に移りたる理由に就きては、新保屋が藩侯の食用に供する魚鳥を貯藏すべき窖藏を近江町の内に有したるが故に、袋町に住するを不便としたるに因ると傳ふるものあれども、一窖藏の爲に多數の問屋を移動せしむることは、到底あり得べきにあらざるを以て、その眞源因は別に之を求めざるべからざるなり。蓋し袋町市場は當時北陸街道の幹線に當りて行旅の妨害となるの憂ありしが、元祿三年三月十七日圖書橋下より起れる火災によりて灰燼に歸したるを以て、恐らくはこの時近江町に移轉せしめられたるなるべしと思はる。