石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第六章 經濟交通

第三節 市場

凡そ百姓の生産する米穀は、その一部を藩侯又は藩侯の指定したる給人等の收納する所となし、一部を生産者たる百姓の作得となす。是等の中百姓藩侯に對して上納する年貢米は、領内數十ヶ所に設置せらるゝ倉に收納せられ、これを御藏米とも御詰米とも稱す。御藏米はその必要とする額を貯藏して、時々費消又は賣却し、殘餘を江戸又は大坂に廻漕す。これを廻米と名づく。又給人收納する米穀は、百姓をして給人の指定したみ藏宿に運搬せしむ。町藏米又は給人米といふもの即ち是なり。給人は藏宿に對して一石の藏敷米二升を仕拂ふものにして、その寄託したる米穀を隨時に引出すものを引米といひ、又給人より米切手を振出し、藏宿をして指定の石高を賣却せしめ、その代債を受くるを拂米と稱す。百姓がその年貢米を倉又は藏宿に納入する場合に在りては、倉には代官、藏宿には手代ありて、嚴密にその質と量とを檢査し、麁惡なるものを卻けて收納せず。故に御藏米又は町藏米は取引上最も信用し得べき商品にして、その拂米切手を買ひ集めて市場に賣出すものを米仲買とし、定期に之を取引する機關を米仲買座とも米場ともいへり。