石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第六章 經濟交通

第一節 貨幣

紙幣加賀藩發行せられたるは、第十七世前田重教の時に初まり、寶暦五年七月朔日正銀通用停止して銀札遣とせるもの即ち是にして、素より財政紊亂の極正貨の缺乏したる結果に外ならざるなり。

 御家中の諸士、勝手及困窮、勤仕にも障可申躰に付、種々被御詮議、御代々御例は無之候へども、御領國の内銀札遣被仰付候者、御家中並町在共勝手に相成、諸商賣通用にも宜趣に付、右札遣被仰付、其上を以御救茂被仰付候者可然段、御僉議御治定に而、則公儀へ相伺被成候處、銀札遣之儀、御伺之通被仰渡候。依之御領國中銀札遣被仰付候。追而仕法等之趣可仰渡、先一統爲承知、夫々爲申聞置候事。
    四月十五日(寶暦五年)                     本 多 安 房 守
〔三州寳貨録〕
       ○
銀札仕法之事
 一、當七月朔日より、銀札遣被仰付候付、正銀通用停止之事。但、追而本札出來迄之内は、假札通用之事。
 一、内々にて正銀通用之者有之、且又似せ札仕者於之は、急度曲事に可仰付候。但、右之族有之 及見聞候者、早速可訴出候。假令雖同類訴人に罷出候者は御宥免成、其上御褒美可下候。
 一、札座え正銀百目致持參引替者えは、銀札百目五分可相渡候。正銀百目引替者には、銀札百一匁請取、正銀百目可相渡事。
 一、銀札一匁・二匁・三匁・五匁・十匁・二十目・三十目・五十目・百目与、九段に相極候間、九分九厘迄は錢遣之事。但、右假札小札少く、末々指つかへ可申候間、本札出來迄之内、十匁迄は銀札並錢入交可通用候事。
 一、札よごれ申歟或は墨付、且又札之裏印章すれ有之候共、表之印章相違於之者、無滯可通用、自然損候札等見にくゝ、通用成札は、吟味之上於札座異儀引替遣可申候。尤口錢有之間敷候事。
 一、他國より御國へ入商賣仕候品々代、尤札を以商賣爲仕、罷歸候時分、夫々役人え達、札座におゐて引替可申候。御國之産物、他國え賣出候代、札座え爲上納銀札相渡候事。
 一、諸運上並御家中役・出銀等都而上納、銀札に而上納、尤於銀座封付可申候。此外封付不申候而不叶品々取遣之分茂、封付可申事。
 一、御家中之面々、他國より調物代として、正銀受取と申者有之候而茂、相渡申間敷候。乍然御領國に無之品に而、他國より調候はで不叶品々、頭・支配人承屈、主付役人え添紙面を以指越次第可相渡事。
 一、江戸大坂・其外他國え罷越候者、正金引替之儀、是又頭・支配人承屆候上、右主附役人え添紙面を以申越次第、爲引替申事。
 一、金子並錢相場極置可申事。
 右之通相違無之樣相心得可申候。以上。
    乙亥六月(寶暦五年)
〔梅花無盡藏〕