石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第六章 經濟交通

第一節 貨幣

上記の如く初に於いて既に金銀貨ありしといへども、その數固より多からず。且つ小額の支拂に當つべきにあらざるが故に、多く米を以て物品を購入したること、之を左の文書によりて知るべし。文中に判といへるは升のことにて、その一升の酒價を米にて定めたるなり。湯淺祗庸の手記に、金澤石浦町に紙屋九右衞門と稱する老舖ありしが、その家に往昔錢貨なかりし頃、酒代の米を請取る爲に用ひたりとて、柄の付きたる小升を寛政末年まで所藏せりといへるも、亦傍證とすべし。

 一、新酒の事、九月より二月まで、上々酒判一升に付て、八木(ハチボク)一升五合宛たるべき事。
 一、古酒は、三月より八月まで、上々酒判一升に付て、八木二升宛たるべき事。
 右自今以後、商賣可此分。若此上酒惡敷樣子有之ば、酒屋ども可曲言旨被仰出者也。
    慶長九年八月朔日
〔慶長以來御定書〕