石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第五章 殖産製造

第四節 林業

加賀藩御林を設定養成したる目的は、一に自身の用途に供するにありて、之を伐採使用するは、主として城郭その他の有諸建築物、及び費を以て支辨する道路・堤防・橋梁用水等の用材を得る場合とし、水源涵養又は土砂防止の爲にすることは甚だ稀なり。又領内の寒村僻邑にして、不幸火災に罹り或は水害を蒙りて家屋を失ひ、而もその所有山林なきが爲用材に困難する時の如きは、特に無償下附し又は低廉に拂下ぐることあり。神社佛閣の新造再建せらるゝに當り、その用材の寄進を仰ぐものある時は亦之を下附することあり。凡そ藩用の爲にする時は、郡奉行の證劵に御算用場の印を捺したるを與へて伐採せしめ、その枝葉は村肝煎之を保管し、御算用場の指揮を受けて公費に附す。村費に係る道路・橋梁用水掛樋等の材料を得、又は薪材の缺乏を補足せんが爲低價拂下を出願する時にも、藩有林に就きて伐採・枝下し・下苅等を許可することあり。山廻役常にその擔當區域を巡視し、若し風損木を發見したるときは極印を鎚し、少數なれば價格を定めて地元の村落に拂下げ、多ければ附近に廣告して入札拂とす。地元の村落より損木あることを郡奉行又は山廻役に屆出づるときは、山廻役實地に臨みて檢印を押捺し、伐採の後更に手先足輕を派して檢印を施すことあり。故に御林に檢印なき伐木あるときは、盜伐せられたるものとして犯罪者檢擧の手續に附す。