石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第五章 殖産製造

第三節 農業(下)

高・免等に關する改作所の帳簿及び繪圖は、凡べて秘密とせられ他見を許さゞること、御定書に『御收納方之儀は御郡奉行に爲構申間敷候。』といへるが如く、郡奉行にして尚且つ然りとせば當局以外他の之を窺知すべからざること勿論なり。文政四年年寄村井又兵衞の寺尾喜左衞門に與へたる消息は、最もその實際を知るに足るべきものなるが故に、今左に之を掲ぐ。喜左衞門は郡奉行なりしも、當時改作奉行郡奉行兼務する所たりしなり。

 高免帳一覽申度達候所、不輕品に付表立候而者難差出旨に而、内々を以能美郡高免帳一帙被之、一覽相濟候に付致返達候。右帳面不輕品と迄うかと被相心得候而者、甚以不容易事に存候。村高免之儀は、其村々に而誰彼承知罷在候品ながら、一國一郡連綿と取揃有之儀は、外役所には無之品に候。既御家督之砌、即日高辻帳御直封に而御讓り被遊、御國政御要務者此品より重きは無之事に候。御勝手方席に而引しらべ見申儀有之、私に取扱候事には無之故各に相尋候事に候。自然一通りに被心得候而はいかゞと存候故、乍序以來之爲め申達置候事。
    辛 巳 三 月(文政四年)
〔河合録〕