石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第五章 殖産製造

第三節 農業(下)

郷村高辻帳は、臨時に幕府の命に隨ひ調査提出するものなり。この帳の製作は、改作奉行二人之を主管し、御算用場の中に別役所を立て、御算用方の吏五六人之に屬し、舊記に照らして誤脱なからしめ、草稿成りたる時は右筆をこの役所に招きて淨書せしむ。郷村高辻帳は一に郷帳ともいひ、かな付帳ともいひしことあり。この帳は、正保三年・寛文四年・貞享元年・元祿十五年・正徳元年・享保二年・延享三年・寛政元年・享和三年・天保十年に製せられ、正保・元祿天保には領内の繪圖をも添付せり。因にいふ、幕府は隨時諸侯政績視察の爲に使者派遣することあり。之を巡見上使といひ、豫めその出張を通報せらる。然る時は之に對する準備を爲さんが爲、御算用場内に別役所を設け、改作奉行二人・御馬廻頭・御小將頭各一人を以て主任となし、各郡奉行之に參加し、諸郡御扶持人十村平十村中より約三人を選拔して亦その事務に與らしめ、上使の領内を巡回する時は改作奉行之に隨行す。慶長七年・寛永十年・萬治二年・同三年・寛文七年・延寶九年・天和二年・寶永七年・享保二年・延享三年・寶暦五年・同十一年・寛政元年・天保九年等にこの上使ありき。