石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第五章 殖産製造

第三節 農業(下)

洪水によりて入川を生じ、耕地を變じて河床又は水底たらしめ、或は山崩によりて斷崖に化し、海岸の沈降若しくは後退して波濤の洗ふ所となれるが如く、凡べて田畑の不毛となりたるを變地と稱す。變地したる地元よりは納租すること能はざるが故に、その歩數を測定して高に直し、その内二十分の一を減じたる殘餘の定納を補償せんが爲御算用場より切手を下附せらる。蓋し初には變地を引高としたるも、元祿中村高千石に對して五十石以下の變地は檢地を出願するを得ずとの令を發し、この割合以下の變地に在りては殘餘の地元の收穫によりて村方自ら之を償はしめ、以て速かに在來の倒田に回復すべき注意を怠らざらしめんとせり。是を以て變地御償米の制あるに及びても、尚二十分の一を補償せざるの慣習を生じたるなり。變地の當年生じたるものを新變地といひ、初は御扶持人十村之を見分せしが、天保八年以來改作奉行出役して見分の上償米を與ふることゝせり。變地となりたる所は、村方にて漸次起返し之を田地に復するも、尚地味劣惡にして舊の如くなる能はざることあり。かゝる場合に於いても、既に多少の毛付を爲したる以上は、より變地御償米を得る能はざるが故に、は起し返しの勞力に對する勢子米の名義を以て一作毎に若干の補助を與へ、年々その額を減じて全然復舊に至らしむることゝせり。