石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第四章 美術工藝

第六節 刀工

又助兼若の第二子に出羽守高平あり。傳右衞門と稱す。幼名又八。その作、緻密なる板目肌にして無地の如くなるに直刄を燒きたるもあれど、又好みて柾鍛を得意とし、硬涸の地鐵を以て高度の廣燒刄を現し、或は故意に掃懸砂流を附したる如きを多く作れり。伎倆平凡にあらざるも、全國的華美の風に倣ひたるものにして、實用的見地よりせば一考を要するものあるべし。この高平の出羽守受領を元祿三年に在りと三州鍛冶系圖に記したるは誤謬にして既に元祿二年二月大吉日辻村出羽守高平と切れる作品を見、歿年は不詳なれども元祿九年二月大吉日四十六歳作之と銘じたるものを存す。