石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第四章 美術工藝

第六節 刀工

加賀の新刀期に於いて在來派の第一に掲ぐべきは藤島系なり。
   次兵衞       次兵衞、金澤住   三郎右衞門、金澤
 友重━━━━━━━━友重━━━━━━━━友重         
   元和頃       寛永頃       貞享頃      
是等本統たる友重累銘は鍛道不振にして、その存在極めて微々たり。且つ彼等の作風も古傳を繼承するものなく、一般加州新刀の列伍に班して、僅かに凡庸の實用刀を遺せるに過ぎず。その中次兵衞友重は慶長前後の刀工なるべく、加州住藤原友重と稍細銘に切り、次の次兵衞友重は寛永頃、次の三郎右衞門友重は貞享頃の人にして、共に藤島友重と太銘に切り、時に藤原と切りたるも存す。而して貞享の後その系を絶ちたるものゝ如く、享保の鍛冶取調書にもその名を見ず。思ふに鍛刀不振期に入りて他業に轉じたるものなるべし。尚現に石川郡松任に友重の後裔と稱するものありて、舊と道法寺屋と號し、現に藤島氏を冐すといへども、三郎右衞門の後系にはあらず。その刀工を業とせしや否やも確實ならざるなり。