石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第四章 美術工藝

第六節 刀工

當時刀工の階級はその手腕の巧拙に從ひて三等に分かたれたり。即ち貞享元年八月の鍛冶位付調書に據れば、兼若・勝國高平・吉家・勝家非人小屋に罷在清光・兼則を上作とし、光國・友重・家平信友を中作とし、守種・幸昌・兼裏・越中清光・二代忠吉・信貞を下作とし、が彼等に鍛造を命ずる場合に與ふる工賃も亦この品等に應じ、享保五年四月の打料等詮議書には、上鍛冶の刀製作料は三枚、脇指は二枚と定め、中鍛冶は上鍛冶よりも一割を減じ、下鍛冶は中鍛冶よりも更に一割を減ず。この工賃は所用の炭代を含むも、地鐵の原料はより交附する慣習にして、刀には鐵二貫目、脇指には一貫八百目を與へたりき。而してその鐵が何れの所産なりしやを明らかにせざるも、之を大坂より購入せるは元祿七年十月の金澤町會所勤方に、『當地鍛冶共御道具被仰付候節、大坂より取寄申鐵の殘、古物裁許足輕え入帳に記相渡申候事。』といへるによりて知るべし。