石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第四章 美術工藝

第四節 髹漆

輪島の漆器業者は多くの徒弟を養成し、以てその製産能率を増加することを謀りしが、是等徒弟の勤惰は又收入に關すること著大なるが故に、彼等の勞働時間を規定して猥に喫煙又は外出せざらしむると同時に、同業者互に徒弟を爭奪するが如きことなきを約し、新たに職工を雇傭するときは前に勤務したる工場主の承認を經ざるべからざる等の方法を講じたりき。今文化十三年正月に申合せたる取締法を見るに左の如し。

 一、從御公儀仰出候御法度之趣急度相守可申事。
 一、木地・漆器地粉等、他國不申、近邊たりとも堅く出不申事。
 一、細工場に於て盤持・音曲、總て榮耀がましき儀決して相成不申事。
 一、常煙草の間線香半本の事。附、三月・八月晝煙草線香一本の事。四月より盆まで晝煙草一本半の事。
 一、弟子共年期中猥に戸外爲致間敷、且又心得違之者は手職取揚げ、早速回文を以て仲間一統へ案内可致候。已來右体之者召使申間敷事。
 一、職人之内不心得にて作病抔申立日を缺き申者は、相互に吟味し一統使ひ不申事。但、新季に雇申者は、是迄務來候方へ屆出之上雇可申候事。
 一、御預り所(幕府領)並宿立候者召使不申事。
    月    日                     塗 師 仲 間 在判
〔輪島町文書〕