石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第四章 美術工藝

第四節 髹漆

藩政時代に在りては、髹漆を業とするものを塗師鞘師との二種に區別せり。塗師といふは、主として家具・器具に髹漆を施し、又は漆を以て裝飾するものにして、蝋色塗・刷毛目塗・吸出塗の如き漆澤の美なるものを製するを特色とし、鞘師は刀室を塗るものにして、石地塗・時雨塗の如く堅緻能く雨雪と日光とに堪ふるものを作るを長所とす。然れども前者は描金工の附屬たり、後者は刀工に隸するものたるの觀あると同時に、工藝としての地位亦甚だ高しとせられざりしを以て、今此等の工人に就きて知ること頗る困難なり。