石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第四章 美術工藝

第二節 陶磁

大樋燒の宗家たる長左衞門は、舊と河内の人なりとせらる。明暦中京都二條瓦町に住し、樂の一入齋吉兵衞に師事せしが、寛文六年前田綱紀の爲に徴されて金澤に來り、大樋町に住せしこと前に言へるが如く、是より大樋を以て家に名づけ、正徳二年正月二十一日歿す。凡そ大樋燒は、代々圏内に大樋の二字ある印を押捺すといへども、初代長左衞門の作には捺印あるものを見ずといへり。二代長左衞門、前田吉徳宗辰二侯の命を奉じて製陶し、延享四年八月二十三日歿す。三代勘兵衞は重煕・重靖・重教治脩の時に當り、享和二年三月二十六日歿し、四代勘兵衞は文政六年六月高六尺・胴廻六尺五寸の陶製獅子を齊泰に上り、翌年隱棲して土庵と號し、天保十年十月二十七日歿す。而して之に次ぐものは名工と稱せられたる五代勘兵衞なり。