石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第四章 美術工藝

第二節 陶磁

加賀陶磁に關する傳統と沿革の紛雜すること、上來既に述べたる如くなるも、尚樂燒にありては能美郡に粟生屋物のありたる外、金澤に大樋窯及びその支系に屬するものあり。大樋燒は遠く古九谷窯の中期に起り、連綿として今日に及びたるものにして、寛文六年加賀前田綱紀京都茶人千宗室を招きし時、陶工長左衞門之に從ひて下りしが、長左衞門は大樋町に陶窯を設け、宗室の考按に基づきて諸種茗器の製造に從事したるを初とすといふ。而してその作品は、一面の需要に應じて贈遺の目的に供せられ、一面には藩臣富豪の嗜好を充すが爲に使用せられたりしなり。

初代大樋長左衞門作香爐 金澤市山川庄太郎氏藏