石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第十節 佛教

寶永四年三月廿四日妙成寺の主僧日體は、領内日蓮宗寺院に對して定書を發布せり。これ妙成寺封内の觸頭たりしが故にして、その内容は、近時一致派と勝劣派と和睦したるを以て、今後自他毀を避くべしとなし、併せて法式・説法・勸化・住職・座列・法衣等の各項に亙りて規定したりしなり。

 一、一致勝劣和睦之上者、都鄙本末一統之儀候條、彌自他毀私曲謗言、如舊規堅可相守事。
  附、法理一統の上者、互令通用法事執行可有事。
 一、惣而前々從公儀御觸、並一宗中之法式、嚴重に可相守事。
 一、他國僧御領國に於て説法並勸化、其外寶物又は懸曼陀羅、人集ひ仕候儀、如先規停止之事。
  附、他國之寺より勸化の儀、若雖來於高座口演事。
 一、先規淺學の僧被談議止之。七年以上學功之者致免許置候得共、向後被入寺面々於談所文句部入無之、堅説法無用之事。
  附、後住願書持參之節者、文句部入相濟候儀慥に可申聞事。
 一、住職之儀者惣而三十歳以上之僧、寺之大小に隨て、新談議以後之所化可相究候事。
  附、向後無學之僧は後住に堅無用之事。
 一、御當地諸寺列座之次第、組合頭之衆可座上事。
  但、於組合頭之中も、在住年數之多少を以可次第之事。
 一、六十歳以上之住持、並於關東飯高・中村・小西・宮谷四ヶ所談林中座以上、其外於談林玄能被相勤候衆者、組合頭之次に以入院遠近次第著座事。
  但、若雖六十有餘之僧五年以來に入寺之輩、以年齡不次第事。
 一、弟子同宿之座列も、無學之僧は新談議以後之所化之上に不著座事。
  附、雖無學僧、四十歳餘之僧は可時宜。又所化中間之列座者可談林之階級事。
 一、去午年申年兩度(元祿十五年、寶永元年)、京都本寺方惣會合に被相究諸國え被申觸候通、衣袈裟之法式堅可相守候事。
  附、縱雖師匠讓之袈裟衣、不於紅衣類紫袈裟並紋白袈裟事。
 一、惣而住持方並妙成寺塔中一老名代役勤者、衣之色者青茶煤竹之二色可之事。
  附、諸本山貫首方に面談之時者、如古法於黒衣事。
 一、惣而弟子同宿者可細美(サヨミ)衣・布袈裟事。
  但、三十歳有餘之僧者戻子衣・類之袈裟可之。所化相勤輩者如談林制法無用之事。
 一、弟子同宿並所化、袷綿入衣着類可木綿事。
  但下着には類令免許事。
 右之條目、御奉行所え相達究候間、自今以後急度可相守候。以上。
〔政隣記〕