石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第十節 佛教

樹心、諱は圓澄。珠洲郡鵜飼村一向宗東派妙嚴寺地中往還寺第九世の住僧なり。十六歳江戸駒込吉祥寺の學林に入りて禪を修め、京師に上りて眞宗の教義を窮め、又南都に遊びて法相を學ぶ。次いで東本願寺琢如に召されて堂衆に列し、後常如の知遇を得、延寶二年東坊了海示寂の後を受けて學寮の講者となる。是より先學寮は寛文四年了海等の斡旋により成るといへども、その講筵は概ね東坊を假用し、未だ學舍の設あらず。樹心即ち之が造營建議し、大坂平野屋五兵衞より資を得て、遂に之を竣成せり。延寶七年常如は樹心に和泉の大津御堂を與へて之に居らしめ、寺を南溟寺と改め、號を法海院と賜ふ。天和三年五月十一日寂。