石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第十節 佛教

前田氏の初期に在りては、淨土宗も亦曹洞宗と共に、その崇敬を受くること厚かりき。されば利家越前府中に移りしとき、尾州犬山に在りし法船寺念譽和尚は之に隨從し、その金澤に入りしときは、府中の光覺寺善等和尚之と行を共にせり。而して法船寺は利家の子利長と共に越中守山及び富山に移り、慶長四年利長の封を襲ぐに及び亦金澤に入る。第三世利常に至りては特に淨土門に歸依せしものゝ如く、その持佛とせし阿彌陀如來は法船寺に安置せられ、又京師清淨華院の休譽をして心蓮社を城下に興さしめき。かくてその勢力徐々として發展し、如來寺に寺領を與へて頭寺となし、末派三十五ヶ寺をして之に屬せしめき。如來寺はもと越中増山に在りしが、後金澤卯辰に移り、次いで徳川家光の養女にして前田光高の室たる清泰院の歿せしとき、老侯利常之を菩提寺に宛てゝ小立野に移し、伽藍を莊嚴にし寺祿を豐富ならしめたるなり。