石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第十節 佛教

加賀・能登二國に於ける藩政時代の佛教は、一向宗最も廣く普及したりしを以て、天台・眞言二宗の勢力を失ひたること言を待たず。その中天台宗にして重きを爲したるものに、城内に祀りたる東照宮に奉仕し、且つ將軍歴世の靈牌を安置したる神護寺ありといへども、實は東叡山の支院常照院の兼帶する所にして、加賀の安住・出雲・最勝三寺がその下裁許を爲すに過ぎず。能美郡小松郊外の天滿宮及び石川郡鶴來郊外の白山比咩神社は、亦天台の社僧を有したりといへども、特殊の神社として重んぜられ、一般寺院の列にはあらず。(白山の社僧は中比眞言に轉ず。)その他天台宗十二ヶ寺ありて、觸頭たる金澤の西養寺に屬し、天台律宗二ヶ寺ありて金澤の西方寺に屬せり。前者の中、珠洲郡三崎の高勝寺は、須須神社の社僧として由緒最も古く、寺産亦豐かなりしといへども、土地邊陬にあるが故に、稀に藩侯一族の爲に加持祈祷を行ふの外、宗教界に於いて何等勢力を有すること能はざりき。