石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第六節 俳諧

元祿開拓せられたる俳風は、明治に至りて消滅す。是を以て、本編は藩治時代の文化を討究するを目的とすといへども、亦爾後の沿革を附載するを便利とすべし。この期に於いては、明治十七年金澤の人石丸桃因の輯めたる今人百人集あり。又十五年澤田犀居閣の編したる當世發句一集あり。前者は小春庵桃守[後攺 桃芽]を中心とし、常丸・超翠・龜悦・文器・甫立・幽梅・一川等の句を擧げ、後者は十丈園一川を主とし、常丸・春樵・一景・從容・梅下・文器等の作を列ぬ。而して二書の作風殆ど相如き、天保の俳調にもあらず、嘉永の風格にもあらず、自ら明治特有の色彩を帶びたるもの、最も注意に値すといふべし。