石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第六節 俳諧

從吾金澤の人、名は白尾屋傳右衞門。支考及び北枝と風交最も深厚なり。享保八年に刊行したる白陀羅尼は支考の著なるも、表面上從吾の選とせられたること、獅子物狂に蓮二房の名を以て支考の作れる文に、『從吾は白陀羅尼をえらみて、越に一場の選者とはなれる。』といへるが如し、從吾三月六日を以て歿す。その年は享保の初頃なるべし。支考乃ち之を悼みて、『藤に名の殘るや花の白陀羅尼』といひ、而して北枝が棺を叩きて痛哭せりとの譚は、俳諧世説の傳ふる所なり。從吾『枯れたはと思うたにさて梅の花』『まつむしや竹の格子の高鼾』等の吟あり。