石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第五節 國學(下)

山下清臣、通稱方介、蒲園と號す。藩臣大音家の給人なり。田中躬之の門に入りて皇學和歌とを修め、又知友を勸誘して同じく其の門に入らしめし者少からず。狩谷鷹友の如きはこれなり。清臣歌文を作ること甚だ敏速。一日桂園一枝を讀み、景樹の風に擬して和歌を詠ず。金澤に在りて香川調を唱導せるもの、是を以て初とす。後和歌を以て身を立てんと欲し、家を弟に讓り、大國隆正の門に入り、近江八幡に住して斯道を奬勵せり。曾て父母を省せし際、能登を巡遊して名勝を尋ね、越中に入りて五十嵐篤好の家に屬し、大伴家持の古蹟を探る。安政二年十月十八日近江に歿す。
牡   丹
 花の上に積らん富はしらねどもよそめあやなく咲みちにけり

社頭初冬
 けさ冬のしるしの杉にかゝりけりうすき時雨の雲の一むら