石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第五節 國學(下)

前田利家、兵馬倥傯の中に在りて、能く學を好み、又和歌を能くす。後陽成天皇嘗て豐臣秀吉の聚樂第に幸し給ふや、利家之に陪伴し、和歌を作りて奉献せり。
寄 松 祝
 うゑおける砌の松に君が經ん千代の行衞ぞかねてしらるゝ

又文祿三年、豐臣秀吉の花を芳野に賞するや、利家之に從ひて、五首の和歌を詠じき。
花 の 願
 花咲けど心をつくすよしのやままたこん春を思ひやるにも

花をちらさぬ風
 ちらさじとおもふ櫻の花の枝よしのゝ里は風もふかじな

瀧の上の花
 ちる花に瀧のしら玉まじはりて雪かとみねの雲ぞかゝれる

神の前の花
 千早ふる神のめぐみにかなひてぞけふみよしのゝ花を見る哉

花 の 祝
 よしの山花のさかりの久しきに君がよはひは限りあらじな