石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第四節 國學(上)

社寺に在りては、連歌の興行を恒例とし、以て神慮を慰むるもの漸く起る。寛永六年利常金澤淨禪寺玉泉寺と改め、寺僧其阿南水に命じて月次連歌奉納せしめ、連歌料十二石を下賜し、明暦三年利常亦菅廟を能美郡梯村に營み、京師北野天滿宮の社僧能觀・能順・能悦を招きて、遷宮の連歌百韻を次がしめ、後能順を擢でゝ別當に任じたるが如きもの是なり。梯天神の月次連歌は、この年八月二十五日に興行せられたるを以て濫觴とす。

 明暦三年八月二十五日賦何田      執筆 北野能觀
 千代の秋神や告けん松の聲       利  常
  天滿月のすめる瑞籬         綱  利
 水清き御池に浮ぶ霧晴て        利  次
  砌に羽ぶく鶴あまたなり       利  治
 光さす眞砂の上や廣からん       惣  代
  そゝぎし雪の朝氣靜けし       能  順
 雨の後軒端の竹の風過て        孝  治
  釣簾卷上る紐のすゞしき       直  賢
   (下略)
〔穩樂齋隨意集〕