石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第四節 國學(上)

寛永二十年十月前田光高江戸に至らんとせしに、途中輿中に假睡して佳句を得たり。既にしてその夫人嫡子綱紀を生む。光高大に喜び、即ち賀莚を張りて百韻の連歌を興行せしめき。光高連歌の作法を里村昌程・同昌佐に學びし人なり。

 寛永二十一年三月十七日
    夢 想
 開くより梅は千里の匂かな
  こゑ心よき宿の鶯          光  高
 春に成あしたの庭の雪消て       利  常
  光長閑に照す池水          犬 千 代
 岩がねの波もかすめる夜半の月     昌  程
  つなぎおく流はるけし       昌  佐
 雨に猶かげ茂るらしむら柳       相  巴
  早苗そよめく小田の夕露       孝  治
 人かよふ里の中道幽にて        重  成
  鳴たつ雁の遠ざかる聲        廣  直
 眞砂地は霧降ながら明はなれ      定  延
  秋來て涼し濱づたひせん       執  筆
   (下略)
〔靈椿遺芳〕